2019年01月11日
シュタルケル壮年期の録音、マーキュリー・レコーディング10枚
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ヤーノシュ・シュタルケルが壮年期にマーキュリーへ録音した総ての曲目を網羅したセットで、LP初出時のカップリングを採用したためと思われるが、既にユニヴァーサルからリリースされた2巻のリヴィング・プレゼンス選集ではCD7枚にリカップリングされて全曲含まれている。
またその後にまとめられたコリア盤7枚組とも全く同一内容となり、新音源は一切含まれていないことを断わっておく必要がある。
オリジナル編集に戻した結果CDが3枚増えてコリア盤より若干プライス・ダウンされていることや、ブックレットに初出時のオリジナル・エッセイやシュタルケル自身のコメントを掲載してコレクション仕様になっているのがメリットだが、思い切った廉価盤化ではなくミドル・プライスに留まったところが惜しまれる。
演奏に関してはシュタルケルが最も脂の乗り切っていた1962年から66年までの最良の記録として高く評価したい。
シュタルケル38歳から41歳にかけての録音になり、演奏はエネルギッシュで機敏、録音も優秀で、豪快なサウンドが実に魅力的だ。
彼はバロックから現代までの広いレパートリーをこなしただけでなく、それぞれの演奏がその曲の模範になり得るような普遍的な解釈を常に示していた。
その正攻法の潔さと極めて現代的な音楽性、つまり知性とテクニックの洗練による曲作りでは群を抜いていた。
しかしそこに自ずと音楽に対する熱い情熱と強い意志が感じられるのも魅力で、傑出したテンペラメントを持っていた。
長身で筋肉質の彼は、チェロを弾くときにも姿勢に無理がなく、音程の把握は確実そのもので、聴き手はシュタルケルの演奏に技巧の難しさを感じない。
彼は、どのような音楽を演奏する際にも、感情に押し流されることなく、常に冷静で、作品の様式を的確に捉え、それを軸にして感情を裏づける。
したがって彼の演奏では、様式と感情のバランスが常に均衡しており、片方に偏ることがない。
一方で、シュタルケルの演奏は絹のように豊かで、美しい音色と成熟した深い音楽的感受性によって支配されており、表現目的を完全に達成している。
彼は、演奏ばかりでなく、若い頃から老成した風貌を持っていたため、歳月を経ても年齢を感じさせなかった。
レコーディングなどでの使用楽器は、1950年から65年までは主に、「アイレスフォード卿」という名前で知られるストラディヴァリウス、65年以降はゴフリラーを中心に使用していた。
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