2019年01月21日

ブロムシュテット、ゲヴァントハウスによるブラームス交響曲第4番


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ブロムシュテットは同一のオーケストラとのブラームスの交響曲全集をまだ完成させていないし、第3番に関しては録音自体見当たらない。

第1番はシュターツカペレ・ドレスデンと、第2番及び第4番はゲヴァントハウスとの音源があるが、それらの中ではこのディスクに収録された第4番だけがセッション録音で、他の2曲はいずれもライヴになる。

データを見るとCD1が1996年に彼ら専用のコンサートホール、ゲヴァントハウスで収録され、CD2の方は1989年にサン・フランシスコのデイヴィス・シンフォニーホールでの録音だが、どちらも音質的には当時のデッカとしては意外にも凡庸の域を出ていない。

鮮明さと臨場感を期待して聴いたからかも知れないが、オフ・マイクぎみに採ったオーケストラはやや精彩を欠いている。

これはあくまでも録音状態から判断する評価で、前者はブロムシュテットがゲヴァントハウスの首席指揮者に就任した年のお披露目の演奏でもあり、彼らの力強く生き生きとした意欲を感じさせるだけに惜しまれる。

むしろ1枚目後半にカップリングされたパウル=ゲルハルト教会での3曲のコーラス作品の方が明瞭な音質が得られている。

サン・フランシスコのホールは当初から音響に問題があったようだが、これは改修以前の録音のためかサウンドにいまひとつ厚みがない。

ゲヴァントハウスのような古い伝統を引っ提げた楽団は、どんな曲目を演奏しても自ずとその貫禄を感じさせるが、このブラームスに関して言えば決して重苦しいものではなく、第1楽章冒頭はむしろフレッシュで苦悩から解放されている。

こうした演奏様式が開拓し尽くされたクラシックの名曲はあらゆる指揮者があらゆるオーケストラと挑戦するが、スコアに忠実であろうとすれば退屈になる恐れがあり、また過去の名演の向こうを張って個性を強調しようとするとブラームスの様式から乖離してしまう厄介なレパートリーでもある。

ブロムシュテットはブラームスの様式からは決して逸脱しないが、そこに可能な限り現代的センスとダイナミズムを持ち込んでロマン派の壮麗な音楽を聴かせる。

彼の解釈には閃きだけでなく周到な準備とオーケストラへの非凡な統率力が窺える。

2枚目のサン・フランシスコ交響楽団及び合唱団によるオーケストラ付コーラス作品は、意外にもブロムシュテット初のブラームスで、ゲヴァントハウスほどの重厚さやくっきりとした造形美にはやや欠けるが、几帳面で堅実な手法に加えて明るい響きと自由闊達な物語性の表現がドイツ的ロマンスを体験させてくれる。

『悲歌』は何という深い哀しみを湛えたブラームスだろう。

人間の根源にある悲しみと憧れを深々と歌い上げた演奏だ。

『運命の歌』ではブラームスの想念の凄さが、重い歩みのなかに切実感をもって聴く者に迫る。

『アルト・ラプソディー』でソロを歌うオランダ人の新進メゾ・ソプラノ、ジャード・ヴァン・ネスは、スケールは大きくないが手堅い歌唱で好感が持てる。

他の曲においても、ブラームスへの全身的共感がブロムシュテットのなかから噴き出ており、オケと合唱団がこれに全幅の信頼をもって反応している。

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classicalmusic at 19:58コメント(0)ブラームス | ブロムシュテット 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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