2019年01月07日
確かなテクニックに裏打ちされた格調の高さ、最高の音質SACDで聴くシェリングの無伴奏
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リイシューを繰り返しているシェリング2回目のバッハの無伴奏は、2007年にCDのマテリアルを一新したSHM-CDで復活した。
その後2017年にこの音源はSACD化されているので、やはりこのバージョンが最も音質に優れていると言える。
同時期リマスタリング盤でリリースされたユニヴァーサルのシェリング全集からの同曲集を聴き比べると、やはりその違いは明瞭に感知できる。
SACD+SHM-CD盤を聴いた直後にセット物のリマスタリング盤を聴くと、後者の音質がやや籠って聞こえる。
このクリアー感のためにヴァイオリンの音色がより明るく艶やかに響いて、再生される音場にも拡がりが出て音域的なバランスも改善されている。
幸いオリジナル・マスターの保存状態も良く、より原音に近いハイ・レゾリューションへの改善の余地も残されていることは確かだ。
力強さと高潔さを併せ持った独特の音色が最新DSDマスタリングによってより一層の生々しさで聴く者を圧倒する。
ただしシェリングの演奏に関して言えば音質の精緻さや音色の美しさよりも、むしろ彼の音楽観を鑑賞することの方が本筋であることは言うまでもないだろう。
この1967年の録音が3枚組のLP盤で出た時から聴き続けているが、筆者にとっては全く飽きのこない演奏だ。
それはシェリングと同世代のヴァイオリニスト、例えばグリュミオーのスタイリッシュな演奏や、鷹揚で美しいスークの無伴奏とは一線を画した、徹底した緊張感の持続がダイレクトにバッハの普遍性や精神性を伝えているからだろう。
対位法の声部を弾き分けるテクニックは磨き上げられていて、それぞれの曲は彫琢されたような造形美と神々しいばかりの輝きを放っている。
また力強く豊麗に響き渡る重音奏法も特筆される。
1挺のヴァイオリンで3、4声部を完全に保ちながら弾くことは不可能なので、分散和音のように瞬時にずらして演奏しているが、テーマを生かすために上声部から弾く場合と低音部から上に向かう奏法が注意深く使い分けられている。
バロック音楽に造詣の深いシェリングだけあって装飾音も第1回目とは異なった最新の解釈が示されている。
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