2019年03月17日

キーシン、RCAへの協奏曲全曲復活


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エフゲニー・キーシンが1988年から97年にかけてRCAソニーに録音したピアノ協奏曲9曲と、モーツァルトの『ピアノと管弦楽のためのロンドニ長調』を収録した4枚のボックス・セットで、これらは既にレギュラー盤でリリースされていたものをまとめたリイシューになる。

キーシン10代から20代特有のフレッシュな感性と潔癖なまでに磨き抜かれたピアニズム、純粋に音楽の喜びに奉仕するような邪念のない姿勢が良く表れた協奏曲集だ。

選曲も古典派から現代までの広いレパートリーをカバーしていて、彼のオールマイティー性を示している。

中でもラフマニノフの第3番はキーシンと彼をサポートする小澤征爾、ボストン響が本来のロマンティシズムを聴かせてくれる稀な演奏として高く評価したい。

この曲はその技術的な難解さから聴き手の耳がどうしてもピアニストのメカニカルな指の動きに集中しがちで、大向こうを唸らせるようなパフォーマンスが喝采を浴びる傾向を否めないが、彼らは何よりもラフマニノフのメッセージを大切に伝えることを心掛けているように思える。

1993年のライヴ録音で、まだ22歳だったキーシンにこれだけ深みのある表現が可能だったことに驚かされる。

そこには少年時代から錚々たる指揮者の下で研鑽を積んだ彼ならではの音楽性が発揮されている。

1988年5月ロンドンのワトフォード・タウン・ホールで録音され、キーシンのRCAへのデビューとなったラフマニノフの第2番は、ゲルギエフ、ロンドン響の巧みなサポートを得て、優れた技巧と瑞々しいタッチ、豊かな色合いをもつ美しい音で、曲の魅力をこよなく引き出していて実に魅力的だ。

1988年8月にウィーンで収録されたスピヴァコフ、モスクワ・ヴィルトゥオーゾとのハイドンとショスタコーヴィチは、いずれもキーシンの成長ぶりがうかがえる名演だ。

前者は硬軟自在なタッチで旋律を美しく歌わせており、後者は自然な息づかいと鮮やかな技巧でリリシズム溢れる演奏を満喫させてくれる。

1992年5月ウィーン・ムジークフェラインザールでライヴ録音された長老ジュリーニ、ウィーン・フィルとのシューマンは、やや遅めのテンポで展開し、キーシンの透明なタッチと卓越した音楽性が1つ1つのフレーズを明快に浮かび上がらせて、見事な名演を生み出している。

レヴァイン、フィルハーモニア管との初顔合わせで1997年1月に収録されたキーシン初のベートーヴェンは、何よりも瑞々しく、限りなく美しく磨かれた音で、丁寧に描き出された魅力的な演奏だ。

第2番と第5番、いずれも豊かなイマジネーションに溢れた演奏だが、これまでの数々の名演の中でも、これほどしなやかに歌われた第5番はないかも知れないし、レヴァインもソロをぴったりとフォローしている。

彼は今年で47歳になり、若い頃に比べればそれほど騒がれなくなってきたが、演奏家としてはこれからが正念場と言える円熟期を迎えようとしている。

これまでに出来上がってしまったキーシンのイメージをどのように刷新するか注目したい演奏家の1人だ。

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classicalmusic at 20:03コメント(0)キーシン  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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