2019年03月15日

頭脳的な音響プレイ、ラトルとバーミンガム市響のストラヴィンスキー


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収録曲目は『春の祭典』『ペトルーシュカ』『火の鳥』及び『ミューズを率いるアポロ』の4曲いずれもがバレエ音楽で、1980年代の後半に集中的に録音されている。

サイモン・ラトルは後にベルリン・フィルとも再録音しているが、ここでの共演者バーミンガム市交響楽団は当時首席指揮者だった彼の手兵だけあって、指揮者のかなり神経質と思われる要求にも良く応え、ストラヴィンスキー特有の手の込んだオーケストレーションを鋭い切り口で鮮明に響かせている。

このオーケストラの機動力はまさにラトルによって培われたものだが、例えば『火の鳥』の終曲に聴かれるように決して迫力に不足しているわけではないが、爆発的燃焼という演奏ではなく、すべてが指揮者の冷静なコントロールの下に整然と精密設計された頭脳的な音響プレイと言えるだろう。

独立したオーケストラル・ワークとして強烈な個性の表出を期待する方にはその点いくらかクールな印象を与えるかも知れない。

『春の祭典』はスコアの細部にまでよく目の届き入念に仕上げた演奏で、この作品の持つ技巧的な要求に対し決して誇張して応じるようなところはなく、オーケストラを余裕と自信を持って動かしている。

第2部「選ばれた乙女の讃美」からフィナーレにかけての息詰まるような迫力ある表現は実に見事だ。

『ペトルーシュカ』はラトルの非凡な才能が示された素晴らしい出来映えで、情景描写が実に巧みだ。

例えば第1場の親方が人形たちに魂を吹き込む場面や、第3場のムーア人の部屋にペトルーシュカが飛び込んでくる場面の描き方なと実に巧い。

『火の鳥』はラトルの感性が良く生かされたもので、音楽のディテールを新鮮な響きとともに聴かせているが、特にそこにみられるロマンティックな情感がひとつの魅力ともなっている。

彼の演奏にはリズムの明快さやスコアへの知的なアプローチとともに、自己の反映と自由な動きも適度に生かされており、彼の音楽的な特質が最も良く生かされた演奏のひとつである。

『ミューズを率いるアポロ』は『春の祭典』と音響的なコントラストとともに、作風の面でも極めて対照的なものが示されており興味深いが、切れ味の良い棒ですっきりとまとめ、ラトルの統率力の素晴らしさを如実に物語っている。

2008年から始まったワーナー20世紀クラシックス・シリーズは今日まで既に62セットをリリースしている。

基本的に1人の作曲家について2枚のCDを割り当て、過去の音源からピックアップした作曲家ごとの作品群を適宜リカップリングして再発しているものだ。

またそれとは別に同様の録音から6枚組および16枚組のアンソロジーも組まれている。

現代音楽の鑑賞にやぶさかでないクラシック・ファンも少なくないはずだが、ごく新しい作品に関してはその評価が定まっていないことや、小品としての売れ行きが見込めないことから録音自体もそれほど選択肢は多くない。

このシリーズは20世紀のクラシック音楽をかなりの量と質の良い演奏で提供していて、それらを簡易にしかも多角的なジャンルから鑑賞できるのが特徴だ。

勿論その中には高い評価を受けているものもあるし、廃盤になった掘り出し物的な名演もある。

ただしライナー・ノーツは最小限に簡略化されていて声楽曲の歌詞対訳等も省略されている。

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classicalmusic at 20:09コメント(0)ストラヴィンスキー | ラトル 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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