2019年02月16日
アッカルド全盛期のパガニーニ、ブルーレイ・オーディオでの全曲復活
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1974年から78年にかけてサルヴァトーレ・アッカルドがドイツ・グラモフォンに録音したCD6枚分のパガニーニ作品集とそれら総てを最後のブルーレイ・オーディオ・ディスク1枚に収録したセットで、24のカプリース及び2曲の無伴奏曲以外はシャルル・デュトワ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団のサポートになる。
これまでに発見されたパガニーニのヴァイオリン協奏曲6曲その他の彼の代表的な作品をカバーしているが全作品を網羅したものではなく、例えばギター伴奏のソナタ集や『モーゼの主題による変奏曲』および『ヴェニスの謝肉祭による変奏曲』などは録音していないようだ。
いずれにしても切れの良いテクニックは勿論、緩徐楽章で聴かせる艶やかなイタリア風のカンタービレが美しい。
特にブルーレイの方で鑑賞すると音質に洗練味が加わって、より輝かしいサウンドが再生される。
ボウイングによる擦弦音や倍音を駆使するフラジオレット奏法の笛のような音色もよりピュアに響いている。
デュトワはやや控えめだが、ソロを徹底して活かす気の利いた伴奏を施している。
パガニーニを体系的に録音する一流ヴァイオリニストは少ない。
それはこの作曲家の純粋に音楽的な価値から考えれば当然だろう。
協奏曲ではシンバルと太鼓でリズムを打つ軍隊行進曲のような伴奏が繰り返され、その間を縫ってフラジオレットのダブル・ストップ、左手のピチカートやグリサンドなどの超絶技巧がこれでもかと続出する。
コンサートでのアンコール曲としてなら飛びっきり魅力的なのだが、聴き続けると辟易としてしまう。
そのあたりに作曲家としての能力の限界が見えてしまう。
しかしアルカンジェロ・コレッリ以来、イタリアではヴィヴァルディ、タルティーニやロカテッリなどのヴァイオリニストによる名技主義の伝統があり、それを頂点に至らしめたのがパガニーニだったと言えるだろう。
つまりヴァイオリンという楽器で表現できる、あらゆるテクニックを開拓したのが彼であり、そのエッセンスがこの作品集で示されている。
フランツ・リストを心酔させ、また後の時代の作曲家、例えばシューマン、ブラームス、ラフマニノフなどにインスピレーションを与え、数々の作品を生み出させたことは無視できないだろう。
ブルーレイ・オーディオは24bit/96kHzのリマスタリング盤で、ライナー・ノーツ、ディスクの総てが綴じ込みになったファイルがしっかり装丁されたボックスに収納されている。
当初はかなり高額だったが、このところ大分価格が下がってきたようだ。
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