2019年02月21日

ドイツ・リートの語り部、ホッター晩年のリサイタル


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ドイツが生んだ「20世紀最高のワーグナー歌手」ハンス・ホッターが1973年にウィーンで録音した歌曲集の第2集で、伴奏は第1集と同様ジェフリー・パーソンズが全曲弾いている。

彼はオペラだけでなく、ドイツ・リートにも優れた解釈を施し、レーヴェやヴォルフ、R.シュトラウスの歌曲で見事な歌唱を聴かせた。

自らの声質を大切にし、レパートリーを制限していたことでも知られていて、ここで歌われている曲も、彼自身が厳選したものであることは言うまでもない。

ドイツが生んだホッターは唯一無二のヴォータン歌いとしてワーグナーの楽劇には欠かせない歌手だった。

そうしたプロフィールを彷彿とさせるのが第1曲目に置かれているレーヴェの『海を行くオーディン』で、全盛期のムーアとのセッションに較べれば声は衰えているものの、そこにはワーグナーの『指輪』にも通じる北欧神話を伝える伝統的な語り部としての重厚な存在感がある。

一方同じレーヴェでも軽快なメルヒェンを扱った『婚礼の歌』は、フィッシャー=ディースカウやプライが得意としていたレパートリーで、ホッターのそれは彼らほど洗練されていないし小回りも利かないが、より素朴で気取りのない表現は捨て難い魅力を持っている。

またヴォルフ歌曲集では今回に期待していた『アナクレオンの墓』が収録されているのも嬉しい。

あたかも枯山水を見るような、しみじみとした枯淡の境地が郷愁を誘う歌唱力は秀逸だ。

このセッションでもピアニスト、ジェフリー・パーソンズが伴奏を極めた達人であったことが思い出される。

戦後ドイツ・リートはシュヴァルツコップやフィッシャー=ディースカウ、ホッターなどの並外れた表現力によって文学と音楽が一体となった、かつてない芸術的水準に引き上げられたが、それには少なからず伴奏者の貢献もあった筈だ。

伴奏家という職業を成り立たせたジェラルド・ムーアの努力と彼のマニュアルが当然その後のピアニスト達にも大きな影響を及ぼしたが、楽曲に対する明晰な解釈とそれぞれの共演者の長所を引き立てる意志及びその術を知らなければ良いパートナーにはなり得ない。

パーソンズは謙虚な中に独自の奥深さを極めた個性で、ドイツ・リートのみならずあらゆる歌曲や器楽曲に対応できた数少ない伴奏者の1人だった。

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classicalmusic at 21:29コメント(0)ホッター  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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