2019年12月10日

自然体でロマンティック、最もオーソドックスなスウィトナーのブラームス


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スウィトナーはブラームスをロマン主義的作曲家の範疇でとらえているようで、近年ブラームスの交響曲はこうしたロマンティックなスタイルで演奏されて大きな成功を得られる傾向が強いが、スウィトナーの解釈は極めて自然で人工的なところがない。

第1番フィナーレの力強さはスウィトナー独特のもので、この演奏の骨組みががっちりしていることを主張しており、格調高く、堅牢な骨格をもった優れた演奏だ。

第2番も実に自然体のブラームスで、少しの衒いもなく旋律をのびのびと歌わせ、全体に穏やかな雰囲気が田園風といわれる楽想を自然に表わしている。

スウィトナーは極端な表情を避け、たとえば第2楽章では弦を柔軟に歌わせると同時に、木管やホルンの弱音をほとんど無視して穏当なバランスを作り出し、デュナーミクの広さより各楽器の音色を大切にしていることがうかがわれる。

第3楽章では輪郭の鮮明な響きを獲得しながら、そこにデリカシーを加えることに成功している。

ドイツ・オーストリア系以外の指揮者は、この作品の流れるような歌の性格を強調しすぎることが多いが、オーストリア人のスウィトナーは、曲の対位法的な特徴をよくつかみ、入りくんだ旋律を、美しく、しっかりと聴かせている。

第3番は終始、正攻法で一貫した堂々とした風格のブラームスで、スウィトナーは遅めのテンポから悠々たる足どりを見せ、スケールの大きい立派な響きを出し、深い呼吸をもって演奏している。

全体にテンポにゆとりがあり、シュターツカペレ・ベルリンの弦と管が見事に溶け合ったいぶし銀のような響きを聴かせる。

ここでスウィトナーは、これらドイツ的ともいえる音楽にウィーン風の柔軟性を加えており、旋律を流麗に歌わせて、ブラームスのもつ晦渋さを柔らげている。

中間の2つの楽章は自然な流れのなかに素直な情緒を漂わせ、両端楽章は充実感とともにきれいごとでないバランスによって、渋すぎないブラームス像を描き出していく。

特に第3楽章では、揺れるような歌がほのかなロマンをたたえ、心安らぐ美しさを表す。

スウィトナーはオーケストラを自分の楽器のように、力強くドライヴするタイプではなく、各奏者の自発性を尊びながら、音楽をまとめてゆく人である。

ここでは、そうした性格がよく生かされており、各楽章を丹念に、オーケストラのバランスを考えながら指揮し、雄壮でありながらも抒情的なこの曲の特徴をよくつかんだ、堅実な演奏だ。

スウィトナーによるブラームスの交響曲全集では、第4番が最も素晴らしく、スウィトナーの抒情性が作品とよく一致した、きわめて流麗で滔々と流れ、大らかに歌う秀演だ。

この曲の情緒的な面よりも、構成的な美しさをひき出した演奏で、対位法的な手法で書かれた旋律を、巧妙に処理している。

この曲のロマン的な性格も明らかにされているが造形的にも平衡感が強く、両端楽章ではこの指揮者の円熟を反映して堂々としたスケールの大きな音楽を聴かせる。

オーケストラの渋い味わいのある響きからしてブラームス的だが、各パートのバランスをくずさずに、自然に表現しているところがよい。

第1楽章では、多くの短い動機に分解できる第1主題も、スウィトナーの手にかかるとロマン的でヒューマンな情緒を色濃く表している。

第2楽章の漂うような流れのなかにさり気なく示される立体感も美しいが、この演奏では終楽章が最も素晴らしい。

決して構えたところはないが、風格に満ち、この作品の交響性と抒情性を見事に両立させた表現で、スウィトナーが巨匠的な風格を身に付けていたことを、まざまざと感じさせる演奏である。

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classicalmusic at 11:31コメント(0)ブラームス | スウィトナー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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