2019年03月19日
ピリオド楽器による洗練されたコレッリの合奏協奏曲集
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英国のバロック・ヴァイオリン奏者パブロ・ベズノシューク率いるエイヴィソン・アンサンブルによるアルカンジェロ・コレッリの合奏協奏曲集Op.6全12曲を収めたSACD2枚組のセットで、2011年に行われたセッションがリン・レーベルからリリースされている。
ベズノシュークは英国を中心に活動していて既に同レーベルからもJ.S.バッハの無伴奏ソナタ及びパルティータ全曲を出している。
ここでの彼らの演奏の特徴はコレッリの作品のシンプルで明快な作法を厚化粧せずに清澄に再現しているところにある。
勿論当時の演奏習慣に従って通奏低音にアーチリュート、チェンバロやボックス・オルガンを曲趣に合わせて適宜交替させているが、洗練された原曲の持ち味を極力活かしているように思う。
例えば名高い『クリスマス』を聴けばそうした飾り気のない表現が、以前の思い入れたっぷりのバロック・パフォーマンスに慣れた耳にはもの足りなく感じるかも知れない。
しかしそれぞれの曲の特質を知るにつれて、繰り返し鑑賞したくなる豊かな音楽性を秘めている演奏としてお勧めしたい。
アルカンジェロ・コレッリ(1653-1713)はイタリア・バロックの作曲家としてヴィヴァルディより一世代前に位置していて、彼もまたヴァイオリンの名手であったことから作品1から4まではトリオ・ソナタ集、作品5がヴァイオリン・ソロのためのソナタ集、そしてこの作品6の合奏協奏曲集は前半の8曲が教会ソナタ、残りの4曲が室内ソナタの形式をとっている。
アンサンブルはコンチェルティーノと呼ばれる独奏群とリピエーノ、つまり和声の埋め合わせをするグループに分かれる。
彼の作品は出版された曲数こそ少ないが、どのジャンルの曲も洗練された美しい響きを持っている。
コレッリの様式は彼と親交のあったヘンデルや弟子のジェミニアーニによって英国にもたらされ、18世紀のロンドンでは熱烈なコレッリ・リバイバルの時代があったようだ。
ベズノシュークがこの曲集を選んだことにもそうした歴史的な裏付けがあったに違いない。
装丁は他のリン・レーベルのセットと同様、内部だけがプラスティックの紙製折りたたみ式のデジパックで、ライナー・ノーツは英語のみで18ページ。
アンサンブルのメンバー全員の使用楽器も明記されている。
ちなみにベズノシュークのヴァイオリンは1676年製のホフマンス、リチャード・タニクリフのチェロは1720年製のレオンハルト・マウジル伝の双方ともオリジナル楽器だ。
演奏ピッチa'=415による教会でのセッションだが、音質は鮮明で残響も煩わしくない。
尚ハイブリッド方式なので互換機がなくても再生可能。
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