2019年04月20日
マルク・アンタイ2度目のバッハ・フルート・ソナタ集
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フランスのトラヴェルソ奏者、マルク・アンタイが初めてバッハのフルート・ソナタ集を録音したのが1998年で、こちらの新録音が2016年なので18年ぶりの再録音ということになる。
解釈はごく正統的で、以前とそれほど変わってはいないが、兄弟でチェンバロを弾くピエールと同様余裕をみせた品位のある演奏が繰り広げられている。
このアルバムにはバッハの真作とされている4曲のソナタと無伴奏パルティータイ短調のみが収録されていて、選曲にも彼のこだわりが示されている。
前回と異なるのは通奏低音付のホ短調ソナタBWV1034を加えたことだが、ヴィオラ・ダ・ガンバを省略してチェンバロのみの伴奏にしていることだろう。
これは当時の演奏習慣では充分有り得る演奏形態で、特にバッハはチェンバロの左手と右手にそれぞれの声部を与え、実際にはデュエットの形態を採りながらソロ楽器と三声部の対位法の書法を発展させていくソナタを多く遺している。
ここでは大曲ロ短調ソナタがその典型的なサンプルだし、トラヴェルソの調性と機能を最大限に発揮させた作品だが、アンタイ兄弟が自由闊達な表現の中に息の合った素晴らしいアンサンブルを聴かせている。
バロック時代の無伴奏フルート作品の双璧と言えるのがここに収録された大バッハの無伴奏パルティータと息子カール・フィリップ・エマヌエルの無伴奏ソナタの2曲だが、いずれもテクニック的にもまた高度な音楽性においても難曲とされている。
ここでアンタイは前回同様繰り返しをしていない。
これは最後の最高音aの2度の突出を避けるための解決策だろう。
しかし以前にも増して楽器の音色が充分に活かされているように思える。
勿論これは録音技術の進歩のためかも知れない。
使用楽器は名匠I.H.ロッテンブルク・モデルで、2013年にルドルフ・トゥッツの手になるコピーだ。
この楽器は響きが豊かで、音色に高貴さを感じさせるのが特長だが写真から判断すると材質は柘植材のようだ。
チェンバロはバッハのケーテン時代にベルリンで工房を開いていたミヒャエル・ミートケによる1702年製のオリジナルをウィリアム・ダウド及びブルース・ケネディーが復元したもので、余韻が長くややダークで可憐な響きが魅力的だ。
バッハがミートケのチェンバロをケーテン宮廷楽団用に購入したことは良く知られたエピソードだ。
録音はオランダのハーレムで2016年に行われている。
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