2019年09月06日

華麗にして壮大なスペクタクル、カラヤン唯一のロシア・オペラ全曲録音《ボリス・ゴドゥノフ》


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カラヤンによる唯一のロシア・オペラの全曲録音で、1970年代の《ボリス・ゴドゥノフ》の代表盤だが、オリジナル版の再評価などがあり、このオペラの演奏は近年大きく変わった。

カラヤンの演奏は、むろんリムスキー=コルサコフ版で、演奏スタイルも今では理想的とはみなされない方向だ。

それでも、これは壮大で華麗なオペラとしての《ボリス・ゴドゥノフ》の極致というべきもので、版や演奏スタイルの主流がどう変わろうと、いささかも魅力を失っていない。

ボリスをめぐる年代史的な歴史劇の様々なページと情景が、この上なく豊麗な音と素晴らしい色彩との的確極まりないタッチをもって次々と展開される。

カラヤンの解釈は、このオペラを華麗にして壮大なスペクタクルとするもので、不安と不条理の表現に突き進むムソルグスキーの世界とは大きく離れたものだが、それは逆に、ムソルグスキーのオリジナルを〈グランド・オペラ〉化したR=コルサコフの改訂の意図に沿うと言えるかもしれない。

現在では、これが一体「正しい」演奏なのか?と思ってしまうにしても、カラヤンの指揮は色彩豊かに描き上げた壮大な表現で、劇的な力に満ち溢れ、そのドラマティックな演出に圧倒されてしまう。

もちろん素朴で暗いロシアなんてどうでもいい、こういう華麗なのが《ボリス》だ、と思わせるだけの、カラヤンとしても素晴らしい部類に入る演奏だ。

素朴さやロシアの暗さなど、この輝かしく劇的な演奏を聴けば、どうでもよくなる人も多いはず。

今となっては、いや生前だって、誰も真似できなかったカラヤン・スタイルのオペラの魅力が、ここには詰まっている。

カラヤンは、例によってオーケストラや合唱を豊麗に鳴り響かせるが、それだけにとどまらず、ここでは内から外に向かってあふれ出ようとする猯廊瓩鮟纏襪靴燭茲Δ任△蝓△修譴呂箸蠅錣厩臂А△垢覆錣遡噂阿寮┐泙犬ぅ┘優襯ーとなって噴出する。

聴き手を圧倒しないではおかない重厚な迫力が常のカラヤンとはひと味違っている。

歌手は端役にいたるまで充実していて、総じて声の美しい歌手が揃っているが、中でも当時上がり調子だったギャウロフのボリスは貫禄充分、心理的な葛藤を万全に歌いあげていて、傑出している。

ヴィシネフスカヤも表情豊かな歌を聴かせて、当代のスターが参集した壮麗さはソフィア放送合唱団を主体にするコーラスの力強い迫力も相俟って、まさにカラヤン・サーカス。

ところで、日本のわれわれはロシア・オペラというものを、特殊な範疇(スラヴ諸国のためだけのもの、というような)の中に押し込めてしまいがちなのだが、20世紀初頭のパリにおけるディアギレフ一座の成功以来、《ボリス・ゴドゥノフ》は西欧に衝撃を与え、その後も途切れることなく各地で上演されてきた。

このオペラを好んで指揮した1人に、トスカニーニがいる。

カラヤンが1960年代後半にザルツブルク音楽祭で指揮したのも、彼がレパートリー面でトスカニーニから大きな影響を受けていることを考えれば、むしろ当然のことなのである。

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classicalmusic at 12:06コメント(0)ムソルグスキー | カラヤン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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