2019年12月14日

カレイドスコープ的な面白さ、グールドのハイドン後期6大ピアノ・ソナタ集


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グレン・グールドが晩年になって夢中になり、本格的に取り組んだ作曲家にハイドンがいた。

彼が称賛を惜しまなかったピアニスト、リヒテルがしばしばハイドンのピアノ・ソナタをコンサートのプログラムに取り入れていたので、その影響があったのかも知れない。

それまでさほど頻繁に演奏していたわけではないハイドンのソナタを、グールドは1971年の書簡で「全曲録音したいと考えている」と明かして、ドイツ・グラモフォンにソナタ全曲録音を考えたが、実現しなかった。

その後CBSレコードのプロデューサーが新しいデジタル録音装置を使用しての録音プロジェクトに誘ったことからようやく実現した。

この2枚組の後期ソナタ集は彼が1980年から81年にかけてニューヨークのスタジオで録音したもので、グールドの生前にリリースされた最後のアルバムでもある。

グールドの初のデジタル録音で、音質にも恵まれていて彼のポリシーだったレコーディングを媒体にする透徹した演奏をほぼ理想的に鑑賞できる。

またグールドの音楽性とそのテクニックが典型的に示された曲集ということもあってリイシューを繰り返している。

グールドのハイドンは、彼が編み出した独創的で洗練されたタッチによってモチーフは象徴化され、極めて几帳面に構成された曲想が鮮やかに出現し、次にはそれがドラスティックに変化していくカレイドスコープ的な面白みがある。

精密にコントロールされた明晰な指さばきが隠されたポリフォニーを浮かびあがらせ、一種のユーモアさえ湛えた演奏を生み出している。

分厚いサウンドとレガートからハイドンを解放し、例によって、乾いたタッチの多彩なアーティキュレーションで音楽を語らせる。

響きの濁りの少なさ、対位法的な箇所の明快なテクスチャーを含めて、フォルテピアノの演奏に通じるところがあり、即興的な趣やユーモラスな表情もモダンのピアノではなかなか聴くことができない。

緩徐楽章のカンタービレは殆んどバーチャルで驚くほどドライだが、急速楽章と見事に対比させる役割を担わせて、それぞれの曲に明確なカラーと不思議な結束力を与えている。

第59番のメヌエットも舞曲を離れ超然としたピアニズムのエレメントに昇華されていて、グールドの世界に完全に奉仕しているかのようだ。

因みに2012年にリリースされたソニーのグレン・グールド・コレクション第13集、ハイドン・ピアノ・ソナタ集には1958年録音のピアノ・ソナタ第59番変ホ長調が併録されていたが、このリイシューでは除外されている。

曲目自体はこのセットの3曲目と同一曲でモノラル録音だが、彼の若い頃のスピード感溢れる演奏が興味深い。

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classicalmusic at 00:31コメント(0)ハイドン | グールド 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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