2019年04月29日

散逸状態だった音源を収集、マルティノン後期のオーケストラル・ワーク集


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ジャン・マルティノンはシカゴを去った後、ヨーロッパを中心に盛んな演奏活動を続けたが、この演奏集ではCD14のオイストラフとの『スペイン交響曲』1曲を除いて、1968年から75年までのエラート及びHMVへのセッションとライヴのステレオ音源を14枚のCDにリカップリングしてある。

シカゴでの制限された窮屈なプログラムから一気に解放されたかのように、この時期の彼は特に母国フランスの作品への集中的な取り組みが注目される。

フランスに戻ってからのマルティノンは以前にも増して意欲的で、その活躍は実に目覚ましかった。

1968年から首席指揮者をつとめるようになったフランス国立放送管弦楽団(ORTF)とともに演奏活動を行うようになる。

それだけに録音活動も水を得た魚のように精力的に行っていて、マルティノンの音楽性が縦横に発揮されたアルバムになっている。

ただしコンプリート録音集ではなく、例えば最も評価の高いドビュッシーはラヴェルの作品集と組まれてワーナーから別のセットがリリースされているし、サン=サーンスに関しては交響曲全集を完成させているが、ここではマリー=クレール・アランとの第3番『オルガン付』のみが収録されている。

それでもこれまで幾つかのCDに散逸状態だった音源が収集されたのは幸いだ。

さらに今回のセットのために、フランス国立視聴覚研究所所蔵のシャンゼリゼ劇場でのライヴ音源や、EMIに眠っていたジュネス・ミュジカル世界管弦楽団とのライヴ音源なども収録している。

バランス・エンジニア、ポール・ヴァヴァシュールがオフ・マイクで採ったイベールの『寄港地』はこの時代のEMIを象徴する録音だろう。

マルティノンの芸風は生涯に渡って明晰なものだったが、アメリカからヨーロッパに戻った1968年以降はスケール感も増し、オーケストラ・コントロールに長け、ダイナミックな要素と色彩的な要素が巧みなバランスで同居した見事な演奏を行うようになった。

個性の確立された管楽器セクションの活躍により色彩豊かなサウンドを聴かせるORTFを巧みに統率、オーケストレーションに秀でたフランス音楽の魅力を明確に打ち出している。

これらの録音から判断するなら、マルティノンはいかにもフランス人らしい指揮者のひとりだが、なかでも、特に犢吐畢瓩離織ぅ廚紡阿垢襯侫薀鵐垢了愆者と言えよう。

彼の音楽がもっているきりりと引き締まった造型性、情緒的なものに流されてしまうことなく、余剰なものはすっぱりと切り捨てていく決然とした表現力、緩急強弱といった要素の対比の妙の鮮やかな際立たせ方などは、他のフランスの指揮者にはあまり見い出せない、マルティノン独自の音楽性である。

このような、フランスの指揮者としては珍しいような犢吐畢瓩文沈をもっていたからこそ、マルティノンはフランス音楽はもちろんのこと、それだけにとどまらず、さらに広い範囲の音楽を巧みに再現することができたのであろう。

1974年にORTFは改組され、フランス国立管弦楽団となるが、それに伴いマルティノンはそのポストを去り、ハーグ・レジデンティ管弦楽団の常任指揮者に就任。

しかしながら、不運にも健康に恵まれず、わずか2年後の1976年にまだ66歳という働き盛りと言ってもいい年齢で鬼籍に入ってしまった。

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classicalmusic at 20:04コメント(0)マルティノン  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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