2019年04月28日

境界のない音楽、多作家ミヨーのアイデンティティー


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いわゆる「六人組」と称されたグループの一人で多作家でもあったダリウス・ミヨーは400曲にものぼる作品を残したが、常にラテン的な明朗さ、快活さに満ちた音楽を書いた。

その精神は故郷プロヴァンスの陽光と風土に常に裏打ちされた、ポジティヴなリズムに満たされているのである。

またミヨーの作品のプロフィールは多彩を極めていて、ある意味では20世紀に活躍した作曲家ならではの姿を映し出しているとも言える。

彼は非常に柔軟な感性の持ち主で、およそ彼ほど多方面から影響を受け、それを自分のものとして消化し創作を続けた人も珍しい。

確かに彼の音楽には同時に複数の調が鳴り響く、多調性の手法が頻繁に聴き取れる。

それはミヨーが生涯に亘って実践した理論だが、一方でピアノ連弾のための『スカラムーシュ』に代表されるように、彼の音楽はエンターテイメントの精神に溢れている。

この曲はキャバレーのライヴのような雰囲気を持っているが、聴く者を決して飽きさせないミヨーの典型的な一面を示している。

ハーレム的喧噪と倦怠感に誘われる『世界の創造』では、ジャズのイディオムが利用され、ヨーロッパの音楽の伝統で、いかに黒人のリズムを生かすかという実験が試みられていて、極めてモダンな響きが創造されている。

またチャップリン的世界さえ彷彿とさせる『屋根の上の牛』では、底抜けに明るいリオのカーニバルを髣髴とさせ、冴えわたるミヨーの筆はさらに七色の光りと陽気な媚薬をふりまきながら作品を楽しく盛り立てており、まさにラテン的憩いのひとときに聴き手を遊ばせる。

つまりミヨーの作品は論理でかためるのではなく、あくまでも劇場的感覚で作品を解放し、その空間に聴き手を憩わせる、そんな不思議な魅力がある。

幸いこの2曲はバーンスタイン指揮、フランス国立管弦楽団の乗りに乗った演奏を聴くことができるが、ここで指揮者は余裕をもってミヨーのリズムを楽しんでいる様子が見てとれる。

『マリンバ、ヴィヴラフォンと管弦楽のための協奏曲』は持ち替えソロがペーター・サドロ、チェリビダッケ指揮、ミュンヘン・フィルで、いかにも20世紀的な珍しい音響の試みを堪能させてくれる。

更に『チェロ協奏曲』第1番はシュタルケルのソロ、ジュスキント指揮、フィルハーモニア管弦楽団で、魅力的な『フルートのためのソナチネ』はパユのフルート、エリク・ル・サージュのピアノと、質の高い演奏がめじろ押しだ。

このセットにはミヨー自身がコンサート・アーツ・オーケストラを1956年に指揮した『ブラジルの回想』もカップリングされていて、物憂い気分から豊かなファンタジーを生み出している。

一通り聴いてみると、一見つかみどころのないような多様さの中に、歴然として個性を発揮しているところが作曲家ミヨーのアイデンティティーなのかもしれない。

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classicalmusic at 20:05コメント(0)バーンスタイン | チェリビダッケ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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