2019年05月04日

神秘と幻想、ヴォーン・ウィリアムズの世界


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ヴォーン・ウィリアムズは20世紀前半のイギリス音楽ルネサンスを推進した重要な作曲家で、イギリスの民謡とチューダー王朝教会音楽に着目し、その再評価を通じて自作に反映させた。

作曲家デビューは遅く35歳で、最晩年の85歳まで作曲し、作品は、交響曲からオペラまであらゆる分野にわたっている。

現代の作曲家の中でもヴォーン・ウィリアムズは、後期ロマン派の感性を色濃く受け継いでいて、同時代のドイツやロシアの作曲家が無調性や十二音技法などの理論を実践に移していたのに対して、しばしば彼はケルティック・スケールを用いた、古いスコットランドやアイルランドの旋律を取り入れたリリカルなメロディー・ラインを独特の和声法で包んだ、涼やかな郷愁を喚起させる効果を好んだ。

筆者はイギリス音楽に大いに惹かれるが、日本ではなんといってもドイツ音楽が主流で、そのことは当然ともいえるが、イタリア、フランス、ロシアなどの作品が広く聴かれているのに比べると、イギリス音楽は地味な存在として、ほんの一部のファンを獲得しているに過ぎず、これは大変残念なことだ。

エルガー、ブリテン、ディーリアスなどももちろんよいが、筆者が日常とくに哀惜しているのはヴォーン・ウィリアムズなのである。

ヴォーン・ウィリアムズの魅力は、何と言ってもその多彩な表現力にあり、繊細な曲調の作品もあれば、豪快かつ勇壮な音の饗宴もあるし、ユーモラスな音の遊戯を楽しむことができる作品もある。

彼は多種多様な楽器等の組合せによって、非常にバラエティに富んだ曲作りを行っている。

また彼は大自然の描写を得意とし、標題音楽にも傑出した才能を示していることから、現代音楽を難解なものとして敬遠している方にも違和感無く受け入れられる作曲家の一人だろう。

1枚目のCDは比較的規模の小さな管弦楽曲を集めたもので、2枚目は主として歌曲集となっているが、演奏はそれぞれ高水準で特に入門者にお勧めできる選曲だ。

CD1では、バルビローリが『グリーンスリーヴズ』の旋律をチャーミングに愛らしく歌い上げて、この作品の親しみやすい魅力を余すところなく伝えてくれる。

バルビローリがこのような作品を指揮すると不思議な奥行きが出て独特の魅力があり、その弦楽のテクスチュアの温かいリアリズムは彼独特のもので、他の比肩を許さない。

『タリス・ファンタジー』は豊饒な黄金色のアンサンブルで、オーケストラ全体がバルビローリとともに音楽に没入し、息の長い歌が幾恵にも重なり合っていく。

繊細を極めるピアニッシモであっても音そのものは肉厚で温かく、フォルテにいたるフレージングは、あたかも空気中から音が満ち溢れてくるようだ。

CD2では、『ウェンロック・エッジにて』の若さと純粋さを併せ持つポストリッジの歌は、詩の精神に寄り添った理想的なものだ。

ただ歌ものを入れるなら彼の短いオペラ『Riders to the sea(海に乗り出す人々)』を入れて欲しかった。

ワーナー20世紀クラシックス・シリーズは過去にリリースされた録音からのリカップリングになるので、演奏者や録音時期とそれに伴う音質の若干の不均一は否めない。

尚このシリーズのライナー・ノーツには歌詞は付いていない。

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classicalmusic at 00:11コメント(0)バルビローリ  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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