2022年06月15日

👍一時代を画したデュトワ&モントリオール交響楽団の至芸🧑‍🎨ラヴェル管弦楽曲全集


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新しい時代の到来を告げた名演というのがある。

名演はいつの時代にも存在したが、それまでの歴史にない新しい美学、技術とセンスに裏付けられた演奏が登場した時、さらに演奏の歴史は一歩先へと歩みを進め、感動は塗り替えられてきたのである。

1936年スイス生まれの名指揮者シャルル・デュトワは1978年カナダのモントリオール交響楽団の音楽監督に就任した。

決して世界的名門オーケストラではなかったし、デュトワも地位を確立していたわけではなかったが、42歳になったばかりのデュトワは厳しい指導でオーケストラを鍛え直し、最愛の、そして世界に自慢できる自分の楽器に育て上げた。

しかもフランス近代の作品を演奏しては世界最高と言われるまでの洗練された美しさと優雅な気品、さらに劇的表現力で一世を風靡し始めたのである。

それはオーケストラ界にもグローバル化の波が押し寄せ、フランスのオーケストラもインターナショナル化の波に呑み込まれ、独特のニュアンス豊かな演奏の妙味、香しい音色のマジックを失いつつあった時期と重なる。

それだけにデュトワ&モントリオール交響楽団が聴かせたフランス音楽は「フランスのオーケストラ以上にフランス的」と絶賛されて、ファンの度肝を抜いたものである。

パリのオーケストラも失ってしまった、本来のフランス的なエスプリが、カナダのフランス語圏にある、ケベックの首都に脈々と生き続けていたのである。

特に洗練された管のソロと、きめの細かな弦のアンサンブルは、沢山の楽器を集めるのは大きな音を出すためではなく、より多彩な音を求めるためであるという、フランスのオーケストラの美学を主張したものと言えた。

そんな奇跡の最初の引き金となったのが、このコンビのデビュー・レコーディングとなったラヴェルの管弦楽曲全集であった。

その筆頭を飾るバレエ音楽《ダフニスとクロエ》が1980年の収録だからデュトワが音楽監督に就任して2年目になるが、デュトワは自身の思い入れで作品を塗り込めるのではなく、むしろ客観的な精度と冷静なコントロールで作品を再現、作品そのものに自らを語らせる、そんな演奏を作り出している。

もし、それが普通のレヴェルの演奏であったならさしたる感動も引き起こさなかったと思われるが、デュトワの美学と怜悧なプロ意識は徹底しており、機能美に徹することで機能美を超えて豊かな抒情性とふくよかな詩情の豊かさを獲得、聴き手を唖然とさせた。

名演であることは誰の耳にも明らかとなったが、それが正確緻密に磨き上げられた異例の純度の高さを背景にしているだけに、聴き手は主観的解釈に眼を開かれるのではなく、現代のオーケストラが達成した機能美と作品の素晴らしさを同時に味わうという新次元の感動に酔い、我を忘れたのである。

しかもこの時期のモントリオール交響楽団の演奏には爽やかな緊迫感といったものが全体に漲っており、それが演奏の鮮度を常に新しく保持させる魅力にもなっている。

いつまでも愛される普遍的価値を持つ名盤であるように思われてならない。

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classicalmusic at 06:32コメント(0)ラヴェル | デュトワ 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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