2019年09月02日

オッフェンバック最晩年の本格オペラ、ドミンゴがホフマンを、グルベローヴァが3人の女性をどう演じ、どう歌い分けるか?


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オッフェンバックの19世紀半ばのパリでの圧倒的な人気は、彼が30年間に100曲を超えるオペレッタを書いた(書かされた)事実からも容易に想像できる。

ロッシーニをして「シャンゼリゼのモーツァルト」と呼ばせしめた鬼才オッフェンバックが、その生涯の最後に初めて本格的オペラとして意気込んで取り組んだのが『ホフマン物語』であった。

しかし、この唯一のオペラを完成することができぬまま、オッフェンバックは世を去った。

オッフェンバックの死後、ギローが、セリフの部分をレシタティーヴォに書き直し、オーケストレーションをつけて完成させ、これをもとにシューダン版がつくられている。

小澤征爾がドミンゴ、グルベローヴァらと録音した『ホフマン物語』は、1977年に発表されたドゥ=アルメイダによるクリティカル・エディションとギローのシューダン版の折衷版が用いられている。

シューダン版による録音としては、クリュイタンスが指揮したものがあり、大時代的な魅力を伝えている。

『ホフマン物語』は、詩人ホフマンが3人の女性への恋を物語っていくものであるが、小澤盤では、ジュリエッタの幕がアントニアの幕の後にきている。

これは、オッフェンバックのオリジナルの順序で、ホフマンが若い時代に人形のオランピアに盲目的に恋をし、純粋なアントニアとの恋を経て、ジュリエッタとの自堕落な生活に至るストーリー性を重視したものである。

ドミンゴが、第1幕やエピローグでの壮年期のホフマンと、オランピア、アントニア、ジュリエッタとのそれぞれの年代でのホフマンをどう演じ分けるかが聴きどころとなろうし、またグルベローヴァが3人の女性をどう歌い分けるかも楽しみなところだ。

第1幕は、小澤の指揮する学生たちの合唱が、速めのテンポでイキがいい。

「クラインザック」の歌でのドミンゴは、多彩な音色を用いて壮年のホフマンへの恋へのシニカルさと情熱の両義性を表現している。

第2幕は、なんといってもグルベローヴァのオランピアが素晴らしく、のびのびとした軽い声には安定感があり、楽々とコロラトゥーラをきめていく。

グルベローヴァの歌声の純度は高く、美しいし、ドミンゴは若々しく美しい声を聴かせてくれる。

第3幕冒頭のアントニアのアリアでは、グルベローヴァが、ヴィヴラートを多めにして思い入れたっぷりの表情をつけて、芸術家(歌手)としてのアントニアを表現しているが、まるで、コンサート・アリアを聴くかのような完成度だ。

ドミンゴのホフマンは情熱的で、ミラクルを歌うモリスは少しノーブル過ぎて迫力を欠くが、ルートヴィヒは母親役としての年齢を感じさせる温かい歌声を聴かせる。

第4幕の、グルベローヴァのジュリエッタは、娼婦にしては声が少し硬質かなと思うが、とにかく綺麗で、最後の七重唱でのホフマンは、恋に狂った男の行きついた疲れと情熱を歌い上げて、ラストの舟歌の合唱が美しい。

そして、エピローグでは、ドミンゴが、ホフマンの自嘲、やぶれた恋に対する怒りとあきらめ、自暴自棄、狂気、酔いを見事に表現していて名演だ。

それに対して、小澤が、学生たちの最後のドンチャン騒ぎを盛り上げているのも効果的で、ノリが素晴らしい。

小澤盤は、小澤の切れの良さもさることながら、ドミンゴとグルベローヴァに尽きよう。

ドミンゴやグルベローヴァが、どんなに上手く役を演じ分けても(実際、見事に歌い分けている)2人が歌うたびに、「ああ、ドミンゴだな、グルベローヴァだな」と思わずにはいられないほど、2人の歌声は、際立って魅力的なのである。

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classicalmusic at 12:15コメント(0)小澤 征爾  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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