2022年04月03日
未だ知られざる名演、名録音、ベイヌム&コンセルトヘボウ最盛期のブラ1史上間違いなく最高傑作盤
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このディスクに収録されたベイヌムの指揮するコンセルトヘボウ管弦楽団からはレコード録音史上、最も素晴らしい音のするオーケストラが聴ける。
最近のオーケストラだって、うまいことはうまいのだが、このように潤いがあり、艶があり、弾力もある音はしないはずだ。
別な言い方をすれば「コクと切れ」という、普通はまず均等にブレンドされない要素が、見事に両立した稀有の例なのである。
むろん、響きだけが良いのではなく、ベイヌムの棒はこのオーケストラの前シェフ、メンゲルベルクの濃厚甘美とは正反対のきっぱりした表現により、団全体に新風を吹き込んでいるのだ。
交響曲第1番は1951年の録音で、フィリップス盤よりも7年前の録音になり、一段と輝かしく、颯爽としており、聴く者を引き込まずにはおかない磁力にも似た吸引力がある。
他のどんな名指揮者も実現させ得なかった熱い興奮へと誘う気迫が充満、起伏豊かで、オーケストラを聴く醍醐味に浸らせてくれる。
ことに終楽章の設計とクライマックスへの運びの巧さは誠に心憎いばかりで、何度でも繰り返し聴きたくなるほど興奮させる。
第1楽章の冒頭は通常よりはかなり速く開始されるが、すぐにチェロやオーボエの素晴らしい音色に魅了される。
主部に入るとテンポはときに急激に加速されるが、オーケストラは全く崩れず、どんな場合も潤いを失わない。
続く第2楽章の弦のふっくらと温かい音色、第3楽章の木管楽器の豊かな音、そして第4楽章の序奏のホルン、そしてそれを支える弦のさざ波、続くアレグロの瑞々しさ、もうどこをとっても溜息の出る響きの連続である。
象徴的なのは第4楽章のコーダの途中で金管楽器のコラール風の旋律が出てくるが、ここはほとんどの指揮者がテンポを落とす。
だがベイヌムは、目の覚めるようなスピードで駆け抜けるのだ。
とくに最初聴いたときはびっくりするが、もともとスコアには「テンポを落とせ」という指示はない。
つまり、このベイヌムが正道ということ。
もちろんモノーラルだが、定評あるデッカの優秀録音のためか、不思議に不満は皆無である。
尚ベイヌムは、この曲をステレオ時代に同じオーケストラで再度録音しているが、演奏、オーケストラ自体の魅力はかなり落ちている。
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