2019年05月17日

エネルギッシュでいてグループの成熟をも物語るメロスSQのシューベルト再録音


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メロス弦楽四重奏団盤は1989年に結成25周年を記念として行われた録音で、『死と乙女』『ロザムンデ』いずれも2度目の録音になる。

前回の録音はドイツ・グラモフォンで1972−74年に全集として完成させたものに含まれていた。

ここに聴く再録音は、前回の全集と比較するとより柔軟性のある表現の上に構築された完成度の高いもので、メロス四重奏団のグループとしての成熟を物語っている。

メロス四重奏団の本領はリズム感とシャープな音の切れ味にあるが、その演奏がこの2曲に不可欠であることを証明したような演奏だ。

このカルテットの特徴は、内声の充実した厚い響きによる4人の均質なバランスと積極的な表現意欲の上に築かれる劇的な表現スタイルと言えよう。

この特色はベートーヴェンなどの場合に良く生きてくるが、シューベルトのような旋律の流れが重視される様式を持つ作曲家の場合は必ずしも良い結果を生むとは限らない。

実際、前回の全集の初期の作品群などでは、劇性を追求する余り、シューベルト独自の親しみやすい旋律の魅力が失われていた。

今回の録音では、厳しい集中力からもたらされる緊迫した表現という点では旧録音とも共通しているが、全体としては全4楽章をストレートに突き進む表現が重視されている。

特に『死と乙女』第1楽章の切れ味の良いエネルギッシュな表現は、この楽章にかつてないドラマ性を与えている。

精気に満ち、4人の響きが力強いエネルギーとなって作品のスケールを一段と大きく表現している。

第2楽章では、リート「死と乙女」の素材が増幅されて情念が爆発するのを見事に捉えているが、一方で静謐さと敬虔さを窺わせるような精神の深さも示す。

第3、第4楽章もドラマティックな勢いを失うことなく突き進むが、第4楽章は、勢い余ってアンサンブルが荒い部分があるのが唯一の欠点と言うべきか。

ここは、テンポを少し抑えてより精緻なアンサンブルを心がけてほしかったし、そうすれば、全曲を聴き終わった後の征服感がさらに大きかったと思う。

しかし、時にはバランスを崩しかけてまで一途でストレートなドラマを追求するメロス四重奏団の演奏は素晴らしい。

そして、今回は抒情的な歌謡旋律の魅力も余すことなく表出し全体を見事にまとめるのに成功しているのが旧録音と比べての大きな進歩と言えよう。

カップリングされている『ロザムンデ』四重奏曲も同じように見事な演奏だが、こちらは親しみやすさ、温かさといったリラックスしたニュアンスに不足しているのが気になる。

もちろん歌心は素晴らしく、第1楽章冒頭の美しさと微妙なデュナーミクを操ったニュアンスは見事の一言。

メロス四重奏団もこの2曲の曲想の違いを弾き分けようとしているが、あと一歩及ばない部分が残されている。

それでも全体としては名演と言うに相応しい高いレベルの演奏ではある。

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classicalmusic at 00:17コメント(0)シューベルト  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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