2019年05月22日

ヘンリク・シェリング、いわく付名演の初CD化、ヘンデルのソナタ集、コレッリのソナタ『ラ・フォッリーア』


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



1980年代に入ってシェリングは録音活動から距離を取るようになったが、この81年の録音は、そんな活動晩期のシェリングの芸風を伝えている。

ヴァイオリンの第一声から、その引き込まれるような音色の美しさに魅了されるが,フレーズの微妙なニュアンスを掘り起こすというよりは、並べられている音を一音ずつはっきり演奏するスタイルになっている。

シェリング晩年特有の精緻でありながら、余裕たっぷりの歌いまわしと、ユゲット・ドレフュスの格調の高いチェンバロに支えられた気品に満ちた表現が、このソナタ集をひときわ価値の高いものにしている。

最後に置かれたコレッリのヴァイオリン・ソナタ『ラ・フォッリーア』は、それぞれのヴァリエーションの華やかさだけでなく、この曲の持つ可憐さをも表出し切っている。

また後半にはシェリング自身による長大で効果的なカデンツァが挿入されているが、バッハの無伴奏を聴いているかのような勢いで演奏されていて、聴いているとその迫力ある音の響きに圧倒されてしまう。

使用楽器はシェリングがストラディヴァリウス、ドレフュスがエムシュのコピーと思われるが、いずれも特有のコクのある、しかも明るい響きでヘンデルの演奏には相応しいものだろう。

録音は1981年11月にパリのエヴァンジェリク教会で行われ、豊かな残響を含んでいてアンサンブルがひときわ瑞々しく聴こえる。

録音及びマスターの保存状態が非常に良好でバロック音楽に造詣の深い2人ならではの演奏は、ヘンデルのヴァイオリン・ソナタ集の優れたサンプルのひとつとしてお薦めしたい。

オリジナル音源はドイツ・グラモフォンのマスター・テープだが、日本では当初学研のヴェリタス『ヴァイオリン教則大全集』附属の10枚組LP盤でしか市販されていなかった。

本盤はユニヴァーサル・ミュージックとタワー・レコードが2005年にユニヴァーサル・ヴィンテージ・コレクションとして初CD化してリリースしたもので、これはレギュラー・フォーマットだが限定盤SHM−CDも出ている。

シェリングについての伝記を読むと、謹厳、実直、規範的などという堅苦しい評価が並んでいることが多く、教科書的で面白味のない演奏をイメージしがちである。

しかし、このCDに記録されている演奏は、シェリングにしては珍しく、かなり自由に振舞っていると言えるだろう。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 14:54コメント(0)ヘンデル | シェリング 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ