2022年05月30日
早くから古楽の復興とその再現に取り組んでいたクイケン三兄弟の末っ子バルトルドのトラヴェルソ・ソロによるテレマンの12曲のファンタジー🎵
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1978年の録音で、G.レオンハルトやブリュッヘンなどと共に早くから古楽の復興とその再現に取り組んでいたクイケン三兄弟の末っ子バルトルドのトラヴェルソ・ソロによるテレマンの12曲のファンタジー。
この作品には名演奏盤が多いが、このクイケン盤もそのひとつに数えられよう。
古楽の黎明期にあって、これだけ鮮烈な解釈でしかも驚くべき正確さと集中力を持ってこの曲集を演奏した例も珍しい。
クイケンの演奏は厳しく、一切不要なものを絶ち切った強靭なもので、テレマンの音楽につきまといがちだった甘さは切り捨てられているが、リズムの歯切れのよさと構成感の確かさがあり、作品の姿を透明に映し出している。
ピリオド楽器を用いる場合、近年では少し低めのピッチa'=390からa'=405くらいで演奏するのが一般的な傾向だ。
この録音ではクイケン秘蔵のオリジナル楽器、1740年頃の製作と言われるG.A.ロッテンブルグ(a'=415)を使用しているのも特徴のひとつで、好ましい音色をもっている。
この為に全体的に軽やかで流麗な曲趣に仕上がっているが、テレマンの織り込んだ対位法の面白みも巧みに聴かせている。
この録音で使われたA.G.ロッテンブルグが製作した使用楽器の写真がそのままジャケットに印刷されている。
拓殖材で作られたワンキー・タイプで、保存状態さえ良ければ二百年以上の歴史に耐えて演奏可能であることを証明していて興味深い。
トーン・ホールの間隔が比較的狭く、大きな手を必要としないことや、音程が明確に取れることなどから名器として現在でも多くの古楽器製作者によってコピーされている、バロック・トラヴェルソのスタンダード・モデルといったところだ。
尚同曲集をオリジナル楽器で演奏したケースとしては、他にコンラート・ヒュンテラーが1720年製のデンナー(a'=402)を使ったものがある。
G.Ph.テレマンは笛の為に膨大な作品を残している。
その中でも横笛用の練習曲的な価値と芸術性を兼ね備えた曲集が、この無伴奏ファンタジーや同じく12の異なる調性で書かれたメトーディッシェ・ゾナーテンで、これらは初心者から上級者までの実際の教材として活用できるように考案されている。
同時代のJ.S.バッハのトラヴェルソ用の曲が初学習者にとっては余りにも難解で演奏が困難であることを考えれば、より実用的な目的の為に配慮された曲集と言えるだろう。
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