2021年09月21日

ハーゼルゼット、トリオ・ソヌリーによるテレマンの『パリ・カルテット』


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テレマンがパリ滞在中に出版した『6曲のトラヴェルソ、ヴァイオリン、バス・ヴィオールあるいはチェロと通奏低音のための新しい四重奏組曲集』をハーゼルゼットのトラヴェルソ・ソロとトリオ・ソヌリーの演奏で、2枚のCDに収めたEMIヴァージン・ヴェリタス廉価盤シリーズの一組。

このセットの演奏者はバロック・ヴァイオリンのモニカ・ヒュゲットやチェンバロのゲイリー・クーパーなど古楽とピリオド楽器奏者の専門家が揃っていて、流麗で巧みなアンサンブルを聴かせてくれるのがバロック音楽ファンにとっての最大の楽しみだ。

しかしこの曲集にはソニー・ヴィヴァルテからリリースされているクイケン兄弟とグスタフ・レオンハルトの強力なライバル盤が存在していて、そちらの方が一層彫りの深い音楽的な彫琢と、バロック特有の劇的な要素や荘重な雰囲気を見事に醸し出していて、それに比べるとややあっさりとした軽い感じに聴こえてしまう。

決して軽佻浮薄な印象はないが、もう少し音楽にコクがあってもいいだろう。

その理由はトラヴェルソ中心に採音した楽器間のバランスにも認められる。

クイケン盤では4人の奏者が対等で、しかもレオンハルトのチェンバロが要になってアンサンブルを支えているからだ。

例えば第1番ニ長調ではトラヴェルソの調性を活かした華やかな快活さが特徴的だし、また第2番イ短調の終曲『クーラント』でのヴァリエーションはまろやかに響く笛の音色と弦のオクターヴで重なる幻想的なユニゾンが非常に美しい。

こうしたところに彼らの緻密なアンサンブルのテクニックを聴くことができる。

しかし一方で名高い第6番ホ短調の終曲『モデレー』では、テレマンがこの曲に閃かせた天才的な音楽性がいくらか上滑りしていて、宮廷の娯楽のための音楽としては成功しているが、背後にあるバロック的奥深さには残念ながら到達していない。

クイケン盤がより低いいわゆるヴェルサイユ・ピッチを採用しているのに対して、彼らはa'=415Hzのスタンダード・バロック・ピッチを使用していることも両者の曲想表現に大きな影響を及ぼしているものと思われる。

演奏者はヴァイオリンがモニカ・ヒュゲット、ヴィオラ・ダ・ガンバがサラー・カニングハムで、チェンバロ・パートはゲイリー・クーパー及びミッツィ・メイヤーソンが分担している。

尚この曲集ではガンバを通奏低音から独立させているのがテレマンの新しい試みだが、ここでは通奏低音として習慣的にチェンバロと重ねられる低音弦楽器は省かれている。

1990年代前半のデジタル録音で、音質は良好だがソニー盤に比較して切れがいまひとつなのも事実だ。

ごく簡易なライナー・ノーツには彼らの使用楽器が明示されていないが、廉価盤でこの曲集全曲を鑑賞できるのが魅力だ。

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classicalmusic at 11:07コメント(0)テレマン  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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