2019年09月27日

幻想的な調べの美しさと表現の詩的優しさ、クイケン・クヮルテットのモーツァルト


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モーツァルトの4曲のフルート四重奏曲をピリオド楽器で演奏したものとしては最も安定感があり、また音楽的にも洗練された内容のCDだ。

クイケン兄弟の三男バルトルドがフラウト・トラヴェルソを吹いた1982年の録音だが、立ち上る霧のような音楽とでも言えばよいのか、幻想的な調べの美しさと表現の詩的優しさが傑出、古楽ならではの美学が結晶となっている。

テクニカルな面での巧さも格別だが、何よりも音色が素晴らしく、それは、フルートというよりは1本の笛が導き出す音と音楽のマジックであり、聴き手が一つの調べから幾千もの夢をつかみ取るような余韻の美しさを誇っている。

特にニ長調KV285はモーツァルトの天才が面目躍如たる曲想で、このようなフルート・ソロ・パートが華麗に活躍する曲ではどうしてもクイケンの鮮やかな技巧に注意が集中しがちだが、第2楽章の弱音のカンタービレの美しさや巧みなフレージングなどはシンプルであるが故に真似のできない彼ならではの表現を堪能できる。

こうした緩徐楽章にこそ真のテクニックが必要だということを痛感する。

使用楽器はA・グレンザーのワンキー・モデルで高音の軽やかさがこうしたロココ風の音楽には最適のトラヴェルソと言えるだろう。

兄シギスヴァルトのヴァイオリンは1700年製のG・グラチーノ、長兄ヴィーラントのチェロは1570年製のA・アマーティ、そしてヴィオラのルシー・ヴァン・ダールは1771年製のサミュエル・トンプソンという具合にトラヴェルソ以外は3人ともオリジナル楽器を用いている。

いずれにしても彼らの音楽性とアンサンブルの技量は高度に練り上げられていて、モーツァルトの時代のアンサンブルのあり方を再現したものとして高く評価されるべき演奏だ。

録音としては既に古典的存在となってしまったが、筆者には時代を画した永遠の名盤のように思われてならない。

以上演奏については申し分ないが、この時期のアクサン・レーベルの録音技術は、同時期のソニーに入れたクイケンの録音に比べるといまひとつ冴えない。

音質に切れがなく、臨場感にも若干欠けているのは事実で、こうした欠点はここ数年間で改善されたが残念だ。

作曲家がある特定の楽器の為の作品を書く時、その当時の名演奏家の演奏を前提にすることがしばしばある。

このCDに収められたフルート四重奏曲中3曲はフルート愛好家ドゥ・ジャンのオーダーで作曲されたが、モーツァルトとも親交があり、当時のマンハイム宮廷楽団で活躍していた著名なフルーティスト、J.B.ヴェンドリングの演奏をイメージして書かれたものだ。

モーツァルト自身手紙の中で、フルートは音程が悪くて我慢がならないが、ヴェンドリングの演奏は素晴らしく、音程にも全く問題がないと記している。

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classicalmusic at 12:13コメント(0)モーツァルト | クイケン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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