2019年05月27日
グラモフォンかワーナーか・・・ふたつのマーラー・コンプリート・エディション
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2011年のマーラー生誕150周年、そして没後100年を記念した限定ボックス・セットで、現存する彼の真作を網羅した18枚のCDで構成されている。
こうした全集物では、その会社と契約しているアーティストしか登場しないために、いきおい演奏者が偏向的になりがちだが、このセットで特徴的なのは総ての交響曲に異なった指揮者とオーケストラを配分して、各曲の代表的な演奏が鑑賞できるという趣向だ。
また今回もグラモフォンだけでなく、傘下のフィリップスやデッカの音源も採用されている。
勿論録音時期も方式も若干違うので、その点では統一性を欠いているのも事実だが、マーラーのようにそれぞれの曲に多彩な個性を与えた作曲家の作品には、むしろこうした八方美人的な企画が功を奏している。
これからマーラーを聴き始める人にとってはコスト・パフォーマンスが高いことも手伝って格好のサンプルになるだろう。
また一部には既に生産中止になっているCDも含まれているので、一家言あるマーラー・ファンにも充分支持されるべき内容だろう。
ちなみにワーナーからリリースされている16枚組のコンプリート・ワークスと比べてみると、演奏者の違いは言うに及ばないが、演奏水準の高さにおいては当セットに勝るとも劣らない内容を持っている。
ただワーナーのほうはどちらかというと歴史的名録音が多く、そのせいで音源も1940年代から70年代のものが中核をなしている。
一方こちらでは一番古いもので1966年のハイティンク、コンセルトヘボウによる第3番で、当然ステレオ録音。
更にはワーナーには欠けているピエール・ブーレーズとシカゴ交響楽団による交響曲第2番の初稿に当たる交響詩『葬礼』、及びウェーバーのオペラ『3人のピント』からマーラーが補完した間奏曲をプレトニョフ指揮のロシア・ナショナル管弦楽団の演奏で聴くことができる。
ワーナーでは歌詞対訳が総てCDに収録されているのに対し、グラモフォンのブックレットには写真と曲目紹介があるだけで、対訳その他は省略されている。
どちらも一長一短あるので、どれを選択するかは鑑賞する方のコンセプト次第ということになるだろう。
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