2019年08月05日

ブリュッヘン&18世紀オーケストラが達成した素晴らしい成果、一気に情報量を拡大したハイドン作品


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20世紀の演奏の世界を大いに刺激したのが、古楽演奏であった。

作品はそれが書かれた時代の楽器、奏法、様式、考え方、スタイルで再現されたとき、初めて真実の姿を現す。

即ちそれこそが作曲者がイメージしていた作品の生きた姿であり、当時の聴衆が味わっていた演奏の醍醐味であるというわけである。

ことに20世紀のオーケストラはリッチなサウンドと分厚い表現法に傾いていただけに、バロック、古典派の作品再現にかけては重大な欠陥あるいは誤解を与えている、そんな反省も含めた新しい動きであった。

兆しは早く、アーノンクールなど1953年に古楽オーケストラ、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを立ち上げ、古楽演奏の意味と大切さとを説いていた。

だがその魅力と大切さが演奏家だけでなく聴き手をも取り込む形で浸透、発展し、うねりにも似た現象となったのは1970年代からと言ってよいだろう。

1934年オランダに生まれたフランス・ブリュッヘンは当初、リコーダーやフラウト・トラヴェルソの名演奏家として脚光を集めたが、1981年に「18世紀オーケストラ」を組織、ハイドン、モーツァルト作品を主な対象とする新たな指揮活動を展開していった。

歴史的脈絡を大切にした作品の解釈、世界の傑出した古楽演奏家たちを結集させたオーケストラによる知的で、斬新で、情熱的な演奏は、たちまち聴き手にセンセーショナルな感動を与え、彼らは古楽オーケストラのニューリーダー的存在感すら見せるようになった。

その勢いはモダン・オーケストラのレパートリーからハイドン、モーツァルトを奪い取る、そんな事態すら招いたのだから、これは驚きであった。

今日では古楽オーケストラが果たした業績は広く認められ、またモダン・オーケストラに吸収される形で浸透している。

その分、過度の期待感もなくなってきたが、1990年に録音されたハイドンの交響曲《軍隊》と《ロンドン》を聴くと、古楽オーケストラが達成した成果の素晴らしさに啞然とさせられる。

混濁しない響きの爽やかさ、各声部の輪郭と存在感が際立ったアンサンブル、弦楽器の優しくも鋭い表現力、対照的に雄弁かつ多彩な管楽器、目も覚めるような打楽器の活躍ぶりなどを得て、ハイドン作品は一気にその情報量を拡大、聴き手に新たな姿を見せるようになった。

しかもこのコンビの素晴らしさは、こうした特質の呈示で終わるのではなく、そこから彼らの演奏の掘り下げが始まる点にあろう。

その結果、交響曲はあたかも作品自らが語り出す姿を顕し、私たちが予想もしていなかった感動の世界へと誘うものになっている。

確かに古楽演奏は主観ではなく、いわば客観主義の成果と言えよう。

しかし、客観主義も徹すれば人間的な幅広さが獲得され、主観も客観も超えたもうひとつ別次元の感動の領域へと分け入っていくことが可能となる、そんな奇跡を見せた演奏と言えようか。

まさに古楽オーケストラが実現してきた成果を結晶にした名演だが、ここまでくると次の課題に挑戦せざるを得なくなる。

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classicalmusic at 12:38コメント(0)ハイドン | ブリュッヘン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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