2019年05月29日

最新録音のような高音質で聴くクナッパーツブッシュの『ワルキューレ』第1幕


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このディスクは、ワーグナー演奏の最も貴重な記録のひとつであるだけに、最新録音のような音質で聴くことができるのに感謝したい。

20世紀最高のワーグナー指揮者と言われるクナッパーツブッシュが指揮し、フラグスタート、スヴァンホルムという2大ワーグナー歌手の協演を聴くことができるからである。

冒頭の弦楽器の生々しさからしてこれまで聴いてきたデッカの正規盤をはるかに上回る音質で、とても70年以上も前の録音とは思えない。

2トラック、3センチ、オープンリール・テープからの復刻ということだが、オリジナル・マスターテープに限りなく近いものではないだろうか。

ダイナミックレンジが広く、楽器の分離も明瞭で、これまでのヴェールを被ったようなモヤモヤがきれいに取り払われ、クナッパーツブッシュの深い呼吸が生み出すスケールの大きさに改めて驚かされる。

『ワルキューレ』は『指環』四部作中でも最も優れた作品とされるもので、上演回数も多く、レコードも名指揮者たちの名演が多数出ている。

しかしクナッパーツブッシュの解釈はそれらに対して言わば別格的な存在である。

前奏曲だけを比較しても判る通り、ここには骨の髄までワーグナーを理解し、楽劇の美を極め尽くした指揮者の表現がある。

表情の幅も大きく、内面的な美しさを雄大に表現して行く解釈は、まったくワーグナーにその生涯を打ち込んだ人でなければ実現不可能であろう。

デッカは1950年代半ばからフラグスタートと専属契約し、彼女をブリュンヒルデ役に起用して『ワルキューレ』をレコーディングしようとした。

フラグスタートは第3幕と第2幕の一部を録音したが、それだけでなくジークリンデを歌うことを強く希望し、そこで行なわれたのがこの録音である。

第3幕などの録音とは区別するために、あえて指揮者はショルティからクナッパーツブッシュに交代した。

クナッパーツブッシュはデッカのプロデューサー、カルショウたちによるステレオの特性を活かした演出などには興味を示さず非協力的だったが、ウィーン・フィルからは篤く信頼されていたそうで、ここでも美しい音色を引き出している。

またこのディスクは『ワルキューレ』第1幕だけであるが、これをもって中途半端なレコードと難ずるのは不当である。

なぜならこの第1幕はジークムントとジークリンデの愛の主題として、内容は最高度に充実しており、全体にもよくまとまり、これだけ引き離しても充分に聴き応えがあるからである。

それどころか評家によってはこの第1幕こそワーグナー全作品を通じて最も美しい音楽であるとする人もある位で、密度の濃い、手法の円熟した傑作である。

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classicalmusic at 08:50コメント(0)ワーグナー | クナッパーツブッシュ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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