2019年05月29日

自然体のアプローチ、ウィーン・フィルの顔、ヘッツェル最初で最後のソロ・アルバム


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1992年に不慮の事故のために52歳で急逝したウィーン・フィルのコンサートマスター、ゲアハルト・ヘッツェルの最初で最後のソロ・アルバム。

同フィルの来日公演でも要となって活躍し、わが国でも敬愛されたこのヴァイオリニストの今となっては貴重な形見だ。

しかし、ただ単にそうした意味ばかりではなく、演奏そのものがブラームスのヴァイオリン・ソナタの音楽の特質を余すところなく引き出した味わい深い名演だ。

長年アンサンブルで活躍していた人らしく、ヴァイオリンとピアノが主従関係にならず、あくまでもデュオとしての音楽が奏され、自然で抑制された室内楽本来の楽しみがここにはある。

演奏家の個性や主張を前面に出した表現ではなく、ブラームスの書いた音楽の流れに沿った、ごく自然体のアプローチと弦のしなやかな響きが身上だろう。

だから強烈な個性や濃厚な演奏を期待する人にはもの足りなく感じるかもしれない。

だが控えめでさりげない表現の中にも、どこからかウィーン・フィルの音が聞こえてくるような演奏で、そのあたりにウィーンで活動を続けたヘッツェルならではの音色と歌心の魅力がある。

純粋で瑞々しいロマン性が慎ましく形式の枠に収められているブラームスの音楽の在りようが、清らかな美音と様式感を大切にした節度ある歌い込みによって見事なまでに表出し尽くしているのである。

決して押し付けがましい趣味ではなく、あくまでも洗練された奥ゆかしい、彼自身の人柄から滲み出てくるような音楽で、過剰でない抒情と抑えた静かな情熱とが心を打つ。

ピアノはウィーン出身のヘルムート・ドイチュで、抑制の効いた品のある表情豊かな音楽作りと、潤いのある音色でソロを巧みに支えて秀逸。

ヘッツェルはオーケストラの一員としてのコンサート活動の他に、気の置けないウィーン仲間と組んだウィーン室内合奏団とのアンサンブルの録音を数多く遺している。

但し、純粋なソリストとしてCD化されたセッションは、このブラームスとナクソスから出ているバルトークの2曲のヴァイオリン協奏曲くらいだ。

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classicalmusic at 13:05コメント(0)ブラームス  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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