2019年06月28日
総ての音源をリマスタリング、ストラヴィンスキー自身によってオーガナイズされた自作自演集
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2015年秋にリリースされたストラヴィンスキーのコロンビア・レーベルへの自作自演集DVD付56枚組で、総てがリマスタリングされた良質の音源になる。
2016年グラモフォンを始めとする大手メーカー数社からもストラヴィンスキー作品集がリリースされた。
このソニー盤の特徴は総ての音源が作曲者自身によってオーガナイズされたオリジナル録音集で、リハーサルや談話、歌曲も交えた全集は、ストラヴィンスキー自身の指揮はもとより、ピアノ演奏まで含む。
指揮は一部ロバート・クラフトに替わるが、当時の第一級の演奏者を揃えていることでも他のレーベルに引けを取らない極めて充実した演奏内容を誇っている。
まさに20世紀最大の作曲家の歴史的な公認演奏の集成で、これ1巻あればストラヴィンスキー作品の全貌を知ることができるが、ほかに名演・秀演があるなかで、やはり作曲家自身の演奏は計り知れない価値を有している。
演奏としても、余分な解釈の追加を嫌ったストラヴィンスキーの思想が明確に示されている。
例えば『春の祭典』など、これ以上の演奏はないと言えるほど乾いた表情が端的な迫力をあらわし、この作品が誕生したときの衝撃的な意味を明らかにしている。
個人的には作曲家自身による演奏が必ずしもその作品の理想の姿を反映させているとは考えないが、ひとつの模範的な解釈には違いないだろう。
ストラヴィンスキーの演奏は一口に言ってシンプルそのもので、彼が頭脳に描き出した音響をダイレクトに再現していると言ったらいいだろうか。
それは彼が根っからの新即物主義者だったことを証明する結果にもなっている。
また当時アメリカ合衆国を訪れた作曲家が殆んど例外なく影響を受けたジャズからのエレメントも積極的に取り入れていて、それは実にカラフルなタッチで彩られた『エボニー協奏曲』として実を結んでいる。
大部のストラヴィンスキー・ファンには、リーズナブルな価格で彼の自作自演盤をコレクションできる大全集してお薦めしたい。
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