2019年08月13日

期待される新人チェリスト、エドガル・モローのデビュー・アルバム


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エドガル・モローは、決して個性を強調した演奏家ではなく、基本をしっかりと押さえてその中に超一流のデリカシーと自由で豊かなファンタジーを託した表現がこれからの彼に期待感を持たせる。

そこにはまだ俗世の煩わしさに染まっていない爽やかさが感じられるが、筋の通った正統的で揺るぎない解釈も聴き逃せない。

若い頃から強烈な個性を発揮するアーティストも多いが、その個性を長いキャリアにおいて全うさせることは非常に難しいし、時としてそれが枷になって息詰まりを起こして演奏スタイルを変えざるを得なくなるケースもある。

モローの場合既にあらゆる部分でのバランスがとれた調和に支えられた無理のない奏法が、将来大器に成長する可能性を秘めたチェリストであることを証明している。

このアルバムでは万人向けのポピュラーな小品を、間隔を置かずにメドレー風に収めたトレイラー的な性格が否めないにしても、演奏の方はどれをとっても彼のオールマイティーな能力を示していて興味を逸らさない。

最初の『チャルダッシュ』冒頭の深い歌い込みから、テクニックの切れの良さを示した後半部のコントラストが鮮やかだ。

同様にこのディスクではカンタービレの美しさと目の醒めるような超絶技巧を交互に披露する選曲が特徴的だし、彼の快活なスピリットを疾走させた現代作品からのレパートリーも数曲加わっている。

できれば1曲でもソナタのようなじっくり鑑賞できる作品を入れて欲しかった。

規模の大きな曲をどう処理するかで彼の音楽性を知りたいと思うからだ。

フランスは世界的なチェリストを絶やさない国だが、現在若手のトップたるゴーティエ・カピュソンが芸術家としての高い音楽性と、職人気質のサービス精神を発揮して、真似のできない独自の世界を作り上げている。

一方モローは奇しくも彼を追う、しかしカピュソンとはまた異なった資質の才能のように思われ、それは彼が将来明らかにしてくれるだろう。

ピアニストのピエル=イヴ・オディクも控えめだが感性豊かな伴奏を聴かせていて、こちらもこれからが楽しみな演奏家だ。

ライナー・ノーツは17ページで簡易な曲目解説と、モロー自身によるコメントが仏、英、独語で掲載されている。

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classicalmusic at 12:13コメント(0)エルガー | サン=サーンス 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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