2019年08月11日
フランスの若手ヴァイオリニスト、ルノー・カピュソンの試聴サンプラー盤として
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フランスの若手ヴァイオリニスト、ルノー・カピュソンがこれまでに行ったセッションの中からそのエッセンスを抜き出してリカップリングした3枚組セット。
廉価盤化されているが楽章単位の抜粋編集になるので試聴サンプラーとしては好都合だが、欲張ってあまりにも多くの作品を詰め込んだために、じっくり全曲を聴きたい方には中途半端な印象が残るだろう。
例えば協奏曲編ではメンデルスゾーンは第1楽章、コルンゴールドとシューマンは第2楽章、ブラームスとベートーヴェンは第3楽章のみで、アンサンブル編でも全曲収録されているものはひとつもない。
最後のアンコール・ピース集ではマスネの『タイスの瞑想曲』やディニクの『ホラ・スタッカート』などのスタンダード・ナンバーが楽しめるが、サン=サーンスの『動物の謝肉祭』はフィナーレのみが収められている。
尚詳しい曲目はアマゾンのページ左上のボックス裏の写真を参考にされたい。
彼は先輩デュメイのような濃厚な情緒を表出するタイプではなく、ヴィブラートのかけ方も比較的浅く、ごく控えめだが要所要所にポルタメントを巧みに入れて滑らかな感触を出しながら全体的にすっきりとした輪郭を持つ独自の奏法を確立している。
ここではラヴェルの『ツィガーヌ』を聴くと、カピュソンの方がデュメイより遥かに古典的な仕上がりになっているのが理解できるし、そのアプローチの違いも歴然としている。
彼はまたアンサンブルのジャンルでも非凡な才能と意欲をみせ、弟のチェリスト、ゴーティエやピアニストのブラレーを始めとする多くの共演者に恵まれていることもあって、若手の奏者には珍しく既に質の高いかなりの数のCDをリリースしているが、2枚目のCDでその片鱗を窺うことができる。
また彼はなかなかの美音を誇っている。
使用楽器はストラディヴァリとグァルネリで、基本的には2005年以降の録音では後者を弾いている。
どちらも張りのある艶やかな響きに特徴があるが、こうしたヴァイオリンの音色を優れた音質で堪能できるのもこのセットの魅力のひとつだ。
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