2019年05月29日

ムーティ&ウィーン・フィルの颯爽たるモーツァルト、ムジーク・フェライン・ザールの潤沢な残響を捉えた優秀録音


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原典主義者ムーティがウィーン・フィルを得て、現代の言葉でモーツァルトを語った演奏だ。

ムーティのモーツァルトは、主観と客観の絶妙なバランスに支えられており、現代の聴き手にとってモーツァルトの交響曲を聴くことがいかに大きな慰めとなり、また救いとなるかを、現代の言葉で証明して見せた魅力と説得力がある。

モーツァルトだからということで距離をおくことなく、実にのびやかに歌い上げた爽快感あふれる演奏であり、時に見せる大胆なアプローチも、かえってモーツァルトの新しさを掘り起こしている。

また時としてモーツァルトの緩徐楽章は精神的な永遠性を感じさせる。

その一つの例が交響曲第29番イ長調のアンダンテだ。

この曲は彼が19歳の時の作品で、全曲を通してオーケストレーションの完成度の高さと爽やかで淀み無く流れる曲想の美しさは、モーツァルトの天性の閃きを示している。

楽器編成は弦と木管及びホルンだけの小編成だが、特に全楽章中で最も長くひときわ抒情的な第2楽章は、ムーティの棒によってウィーン・フィルから限りない安らぎとも言える音楽が引き出されている。

このCDには他に第33番変ロ長調と第34番ハ長調が収められている。

尚ムーティは1991年から98年にかけてウィーン・フィルと11曲のモーツァルトの交響曲を録音した。

人数を大幅に減らした編成により古典派らしい風通しの良い音を鳴らしているが、旋律の美しさは最大限に活かされており、素朴調にならないのはやはりウィーン・フィル伝統のスタイルといったところであろうか。

録音場所は総てウィーンの黄金ホールと呼ばれるムジーク・フェラインのグローサー・ザールで1870年オープンの歴史的な演奏会場だ。

このホールは内部装飾の豪華さもさることながら、特に残響音の潤沢なことで知られている。

5枚のCDのどれを聴いてもすぐに気が付くが、オーケストラの瑞々しい余韻がホール全体に広がっている。

残響時間は1680人満席時で2秒だから、当然聴衆のいない録音時には更に長くなる。

曲種によってはそれがいくらか煩わしいこともあるが、このモーツァルトに関しては指揮者ムーティの音楽的な意図を明確に伝えることができていると思う。

今般この豊かな音響がSHM−CD化によって明瞭に再生されたことは幸いだ。

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classicalmusic at 21:09コメント(0)モーツァルト | ムーティ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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