2020年10月07日

1980年代後半、アバド、ポリーニの理知的な表現能力と音楽性の進展


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ポリーニの演奏スタイルに変化があらわれはじめた1980年代後半の録音。

以前の輝かしいタッチで高い緊張を維持しながらヴォルトゥオーゾ・スタイルに、この頃から微妙な変化があらわれ、こまやかな陰影が宿るようになった。

シューマンの協奏曲は勇壮なダイナミズムが支配していて、その力強さが圧倒的な演奏だが、遅めのテンポのなかそうした繊細な表現が大きくものをいっている。

緩徐楽章の香り立つようなニュアンスもこの曲にふさわしく、フィナーレで反復されるフレーズも決して機械的に陥ることなく豊かな音楽が息づいている。

ここでもポリーニは作曲家特有の抒情性を陰影深く仕上げるのではなく、むしろ総ての音に光を当ててあくまでも明快なピアニズムの中に音楽を造形していく手法をとっている。

それだけに濃厚なリリシズムを求める人にとっては合わないかも知れないが、例えば終楽章の歓喜に満ちた燦然とした表現は聴き逃せない。

ところで、ポリーニの演奏のレパートリーは他のピアニストに比べてそれほど広くはない。

その理由は彼が商業ペースに乗らず、自分の納得のいく音楽作りに時間をかけてひたすらマイペースで取り組むからに他ならないが、その限られた曲目の中でも重要な分野が現代音楽だ。

12音技法で作曲されたシェーンベルクのピアノ協奏曲は情感豊かに歌い上げた名演だ。

しかも恐ろしく切れの良いメカニズムで弾き切ったこの録音は、彼と指揮者アバドの理知的な表現能力と音楽性を最大限に進展させた稀にみる集中力を持った演奏だ。

またここではアバドのこの作曲家への深い共感に裏打ちされた見事な指揮も成功の大きな要因となっていて、ベルリン・フィルのアンサンブルの巧さも特筆に値する。

どちらも1989年のデジタル録音で、比較的全体的な音のバランスが良く、雑味が払拭された澄んだ音色が特徴だ。

特にシェーンベルクのように打楽器の音色や各パートの横の動きに注意が集中する曲種には効果的だ。

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classicalmusic at 14:22コメント(0)ポリーニ | アバド 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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