2019年07月13日
パワフルだった頃のアメリカを髣髴とさせるルロイ・アンダーソン自作自演集
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昨年2018年がアメリカの軽音楽作曲家ルロイ・アンダーソン生誕110周年ということもあって、既にふたつのレーベルから自作自演集がリリースされた。
スクリベンダムと英リアル・ゴーン・ミュージックでどちらも4枚組リマスタリング盤だが収録曲目が若干異なっていて、こちらのスクリベンダム盤は最後に自作ミュージカル『ゴルディロックス』からのセリフを除いた序曲、アリア、重唱及びコーラスのステレオ録音を組み入れているのが特徴だ。
演奏者ではソリストの名前はある程度記載されているがオーケストラについては一切明らかにされていない。
過去にリリースされたCDにはルロイ・アンダーソン・アンド・ヒズ・ポップス・コンサート・オーケストラと表記されていた。
かなり高度な機動力を持っていてリズム感も良くアンサンブルも上手いので決して機会のための寄せ集めではなく、おそらくゴールドマン・バンドやボストン・ポップス・オーケストラのピックアップ・メンバーによって構成された楽団と思われる。
ルロイ・アンダーソンを世に出したアーサー・フィードラー指揮する当時のボストン・ポップスはRCAビクターと契約していたので、版権の異なるデッカやコロムビアでの演奏では名称を伏せたのかもしれない。
ちなみにフィードラー、ボストン響もほぼ時を同じくしてルロイ・アンダーソン作品集を録音しているが曲数はずっと少ない。
その他マーキュリーのリヴィング・プレゼンスからのフェネル、イースター=ロチェスター盤、ヴァンガードのアブラヴァネル、ユタ交響楽団、ナクソスのスラットキン、BBC盤などの選択肢がある。
ここでは目の醒めるような速いテンポで颯爽と演奏するアンダーソンのオリジナリティーが全開で、当時のパワフルで屈託のないアメリカを反映しているところが象徴的だ。
尚最後のミュージカルだけは指揮がリーマン・エンジェルに代わっているが監修は常にアンダーソン自身で、作曲者の意図が忠実に実現されたオリジナル・キャスティングによる貴重なセッションになる。
彼らしい軽快な曲の連続するロバウト・サウジー原作の童話から脚色された作品だが、短い曲に機知とユーモアを集中的に盛り込んだアンダーソンにとって、実力を発揮できるジャンルではなかったらしくミュージカルの定番としては残らなかった。
音質については録音と再生技術でそれぞれのメーカーが鎬を削っていた当時のアメリカだけに、1958年から62年にかけてのステレオ録音の状態はすこぶる良く、パートごとの分離状態にも優れていて、半世紀前の録音とは思えないほど生き生きした音楽の息吹きを伝えている。
尚CD1の前半及びCD3はモノラル録音でやや音質も落ちるが時代相応以上の音質が確保されている。
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