2020年08月16日

聴き手に実に美しく響いてくるヘブラーの至芸、モーツァルトのピアノ協奏曲2曲


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古くはリリー・クラウスやクララ・ハスキル、最近でもマリア・ジョアン・ピリスのように、昔からモーツァルト演奏家といわれるピアニストはかなりいる。

イングリッド・ヘブラーももちろんモーツァルトしか演奏しないわけではないが、彼女ほどそのレパートリーをモーツァルトに絞って演奏し続けている人は稀であると言えよう。

彼女はいろいろな国の、さまざまな特色を持った先生について勉強したためか、幅広い音楽性を身につけて育ってきたが、そうした中から最終的にモーツァルトに到達したわけだから、それがいかに本物であるかがわかる。

それだけにヘブラーの解釈は決して恣意的ではなく、時代を感じさせない普遍性と高い品性に支えられていて、将来にも聴き継がれるべき優れた演奏だと思う。

モーツァルトの作品を自己の個性の表出に捻じ曲げてしまう再現も多い中で、作曲家に奉仕する姿勢を生涯貫いた彼女の謙虚さはむしろ稀少で、またスペシャリストとしてその全盛期に網羅的に取り組んで成し遂げたレコーディングは偉業と言えるだろう。

彼女のモーツァルト・ピアノ協奏曲全曲録音は1964年に開始され4年間の歳月を費やして完成しているが、その頃すでにモーツァルトの音楽に対する彼女自身の様式を完全に確立していたように思われる。

第21番、第26番はヴィトルド・ロヴィツキ指揮によるロンドン交響楽団の演奏で、全体をそつなく纏めてソロを引き立てている。

前者の名高い第2楽章のアンダンテも気負いのない率直なサポートが古典的な形式感を感知させて、他の楽章とのバランスも良好に保たれている。

ヘブラーの演奏活動の中でも当初からモーツァルトは生涯の課題であり、端的に言えば必要以上の恣意的な表現を嫌い、古典派やロココ趣味の音楽性から求められるシンプルだが気品のある流麗な再現を堪能できる。

彼女の自然体の演奏は磐石で細やかな表現にも欠くことがなく、強烈な個性を感じさせない、常に王道を歩む演奏であることが半世紀以上に亘って聴き続けられている理由だろう。

1960年代半ばの録音状態は極めて良好。

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classicalmusic at 13:39コメント(0)モーツァルト | ヘブラー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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