2020年01月09日
オペラ黄金時代の最後を飾ったギャウロフ全盛期のコンサート・ライヴから
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世界の名立たるオペラ・ハウスとレコード会社が贅を尽くしてスター歌手の競演やそのスタイリッシュな歌唱の録音をオーガナイズした時代の、言ってみれば最後を飾った一人がブルガリアのバス、ニコライ・ギャウロフだった。
彼以降オペラ歌手の権限は良くも悪しくも制限を余儀なくされ、ジュリーニが痛烈に批判した、劇場間を掛け持ちして疲れた歌手達が短時間でオペラを粗製濫造する時代になってしまう。
その議論はともかくとして、ここにギャウロフ全盛期のふたつのライヴからのオーケストラ伴奏によるアリア集が収録されている。
実は最近エロクエンスから彼のアリアと歌曲を集めた1枚がリリースされたが、聴き比べると音質的にもこちらの方がお薦めできるのでレビューを書くことにした。
音源はどちらもミュンヘンで開かれた放送用日曜コンサートのライヴから採られたもので、アンコールと思われる最後の2曲は客席からの拍手喝采は入っているが、それ以外の雑音は皆無で放送用だけに良質のステレオ録音で鑑賞できる。
アマゾンのページに収録曲目一覧が掲載されているので照らし合わせて戴ければ幸いだが、トラック1、7、8、9が1966年、それ以外が69年の録音になる。
ただし全曲とも原語による歌唱で、トラック4から7迄の4曲は記載ではドイツ語になっているが実際にはオリジナル・テクストのロシア語で歌っている。
指揮者は1、2、7、8がジョルジュ・プレートル、その他がアルフレード・アントニーニでオーケストラは総てバイエルン放送交響楽団が担当している。
いずれもギャウロフがオペラの舞台で経験を積んだ十八番ばかりで、それぞれのシーンでの彼の舞台姿が目に浮かぶような臨場感がある。
彼の声には特有のスラヴ臭さがあったにも拘らず、その並外れた演技力、圧倒的に豊かな声量と広い音域で殆んど総てのバスのタイトルを歌うことができた。
筆者もオペラでギャウロフの勇姿を見ることができた年代だが、晩年でもスタイルを崩すことなく常に彼らしい存在感を示したスケールの大きな舞台を創り上げていた。
最後に置かれたフレンニコフの『酔っ払いの歌』は彼がしばしばリサイタルのアンコールで歌って大喝采を浴びた歌曲で、泥酔した男の滑稽さを活写した表現が実に愉快だ。
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