2019年06月02日

小味を効かせた鮮やかな手腕、デ・ブルゴスのスペイン・オーケストラル・ワーク集


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2014年他界した指揮者ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスの演奏は何回かのコンサートで聴く機会に恵まれた。

中でも彼の生まれ故郷のスペイン物では、やはり血の滾るような情熱でホールを沸かせたが、それはオーケストラを隙なくまとめて曲想を効果的に引き出す手腕に圧倒的な力量があったからだろう。

生前彼の指揮者としての知名度はそれほど高くなかったが、実力にかけては第一級の腕を持っていて、もっと評価されても良い人だと思う。

デ・ブルゴスは父親がドイツ人だったことから、ドイツ物も得意なレパートリーとして手中に収めていたが、一方でこうした民族色豊かな小品やセミ・クラシック的な編曲物でも、器用と言う以上に絶妙な味わいを持った指揮をした。

このCDに収録されたアルベニスの『スペイン組曲』と『スペイン狂詩曲』は元来ピアノのための作品で、こうしたオーケストラ用アレンジではある程度曲の持つイメージが限定されてくるのはやむをえないとしても、その色彩感と迫力は一層豊かになり華麗な音響効果を堪能することができる。

ちなみに前者はデ・ブルゴス自身の編曲で、彼のアレンジャーとしての才能も披露している。

尚『スペイン組曲』では曲順を入れ替え、『クーバ』を除いてアルベニスのもうひとつのピアノのための『スペインの歌』から「コルドバ」を挿入してオーケストラ組曲としての体裁を整えている。

最後に収録されたセビリア出身ホアキン・トゥリーナ作曲の『交響的狂詩曲』は、アンダルシアの抒情詩といった作品だが、アルベニスが曲中に例外なく盛り込んだ民族色には囚われない幻想的なロマンティシズムが特徴だ。

この曲と『スペイン狂詩曲』の2曲にはピアノ・ソロにアリシア・デ・ラローチャを迎えた万全なキャストも特筆される。

彼女とデ・ブルゴスの洗練された感性と情熱が相俟って、決して単なる郷土の祭典に終わらせず、作品への音楽的な価値を提示した演奏として評価したい。

オーストラリア・エロクエンスから廉価盤で復活したもので、この曲集は過去にXRCDでもリリースされ、臨場感と音質に関してはそちらの方が生々しいが、レギュラー盤も入手困難になった現在安価で楽しめる1枚としてお薦めしたい。

『スペイン組曲』がニュー・フィルハーモニア管弦楽団との1967年の録音で、他の2曲はロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を振った1983年のいずれも極めて良質な音源だ。

廉価盤だが英語の簡易なライナー・ノーツが付いている。

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classicalmusic at 12:36コメント(0)ラローチャ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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