2019年06月06日
コンドラシン、コンセルトヘボウ管弦楽団ライヴ(1)、マーラー交響曲第7番
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キリル・コンドラシン(1914-1981)が晩年にコンセルトヘボウ管弦楽団と演奏したアムステルダム・ライヴ音源がターラ・レーベルから3枚のCDで個別にリリースされているが、いずれも客席からの咳払いが聞こえる以外録音状態は極めて良好で、音質に恵まれたステレオ録音になる。
このディスクは昨年リマスタリングされジャケットのデザインを一新したリイシュー盤で、1979年11月29日のコンサートからマーラーの交響曲第7番が収録されている。
ライナー・ノーツにはコンドラシンと楽曲についての簡易な日本語による解説が掲載されている。
ちなみにこのシリーズはフランクの交響曲とベルリオーズの劇的交響曲『ロメオとジュリエット』抜粋1枚、シベリウスの交響曲第2番及びシューベルトの劇付随音楽『ロザムンデ』よりの1枚で完結している。
モスクワ生まれのコンドラシンは1978年にオランダに亡命し、コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者として西側での目覚しい音楽活動を開始した。
旧ソヴィエト時代から既にショスタコーヴィチの交響曲全集とマーラーの交響曲選集をメロディアにレコーディングしている。
奇しくも彼の最後のコンサートがやはりマーラーの交響曲第1番で、マーラーがコンドラシンにとって極めて重要なレパートリーだったことが証明されている。
第7番は5楽章構成の大曲だが、かろうじて第1楽章が調性の変化が曖昧なソナタ形式の名残りを残している。
第2楽章と第4楽章にナハトムジークの表示がある以外には楽章間の繋がりが稀薄な上に、交響詩のようなストーリー性も欠いているため、凡庸な演奏ではとりとめもない散漫な印象を与えかねない。
コンドラシンは比較的速めのテンポ設定で緊張感を逸することなく、テノール・ホルンやギター、マンドリン、カウベルなど通常のオーケストラでは使われない楽器にも雄弁に語らせる色彩感覚にも優れた手腕を示している。
そこにはダイナミズムの絶妙なバランスも窺わせている。
至るところに現れるヴァイオリン、ウィンド、ブラス及びパーカッション・セクションのソロの部分ではコンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者達の面目躍如で、そのサウンドは決して派手ではないにしても伝統の重みと余裕を感じさせているのは流石だ。
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