2019年06月02日
ロストロポーヴィチのソロ音源40枚+3DVDのコンプリート・コレクション
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20世紀ロシアの頂点に立った器楽奏者の巨匠を語るとき、チェロのロストロポーヴィチ、ヴァイオリンのオイストラフ、そしてピアノのリヒテルの存在は欠かせない。
彼らは既に他界して久しいが、遺された録音はその音楽的価値から言っても将来のクラシック音楽界にとって無視できないサンプルになり得るに違いない。
最近のバジェット価格による限定箱物ラッシュに乗じて、大手メーカーからそれぞれの全集がリリースされている。
2017年1月にロストロポーヴィチのグラモフォン音源が37枚のCDセットでリリースされたばかりだが、彼のもうひとつの重要なレーベル、EMIからの26枚+DVD2枚のコンプリート・レコーディング集は既に製造中止になっていて、法外なプレミアム価格で取り引きされている。
したがって、2017年3月末にワーナーからのEMI音源を核にした3枚のDVD付CD40枚組コレクション仕様のセットは待望されていた企画だし、俄然その価値を高める結果になっている。
しかもEMIだけでなく幸いワーナー傘下のエラート、テルデック、ソヴィエト音源からの39枚とインタビュー盤1枚に加えてジュリーニ、ロンドン・フィルとのドヴォルザーク、サン=サーンスの協奏曲とバッハの無伴奏組曲全曲を収録したDVD3枚がコレクション仕様の美麗ボックスに収納されて復活した。
価格的には通常のバジェット・ボックス盤よりはやや高めだが、それぞれがオリジナル・デザインのジャケットに挿入され、200ページの殆んど単行本の写真集ようなライナー・ノーツが付いている。
ただし演奏はあくまでも彼のソロとアンサンブル、協奏曲及びオーケストラ付チェロ用作品のレパートリーで、指揮者としての録音になるチャイコフスキーの交響曲全曲を始めとするオーケストラル・ワークはワーナーから別口の6枚組で出ている。
ロストロポーヴィチはカザルスの讃辞「これまでのチェロ演奏の観念をくつがえしたチェリスト」を引き合いに出すまでもなく、彼こそは19世紀以来の多くのチェリストたち、わけてもカザルス以後の現代のチェリストたちが、骨身を削って追求してきた技術的理想を実現した最初のチェリストであった。
のみならず筆者にとっては、冴えた演奏技巧(単なる冴えではなく、想像を絶する超人的なそれ)が生み出す感銘が、いかに大きいものであるかを教えてくれた最初の人なのである。
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