2019年11月08日
グスタフ・レオンハルト、フランス・バロックの世界
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グスタフ・レオンハルトが晩年に行ったセッションで、ディアパソン・ドールに選出された1枚。
作曲家アントワーヌ・フォルクレ(1671-1745)はルイ14世時代に宮廷楽団で活躍したヴィオールの名手で、実際には彼が遺したヴィオールのための組曲を死後息子のジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782)がクラヴサン独奏用にアレンジして出版した曲集になる。
曲想はこの時代特有の典雅なおおらかさに秘められた情熱と爛熟した王朝文化の手慰み的な倦怠感を共有している。
レオンハルトのこうした曲趣への共感と彼の円熟期の非凡な感性によって味わい深い音楽が醸し出されている。
録音は2005年6月に古楽演奏ではしばしば使われるベルギーのフラヴィンヌ城で行われ、使用楽器はデジパックの内側に写真も掲載されている。
エムシュが1751年に製作した二段鍵盤を持つ大型チェンバロで、共鳴胴の蓋の内側は絵画で美しく飾られたロココ趣味のヒストリカル楽器だ。
録音状態は極めて良好で、チェンバロが目の前で響いているような繊細かつ精緻な音色が再現されている。
それぞれの曲目の調性が書かれていないのでピッチも分からないが、当時の音律が採用されていることは聴き取れる。
製作者エムシュはこの時代の音楽的な趣味を敏感に楽器の音色に反映させているので、フランス・バロックの室内楽を鑑賞するには理想的なセッションのひとつと言えるだろう。
ディアパソン自主制作のCDは演奏の質において鑑賞する側にとっては非常に優れたヒントを与えてくれるところが有難い。
このアルバムの装丁はごく簡易な見開き2面の雑誌の付録のような紙ジャケットで、そのコレクション的な存在感と保存という面ではいくらか弱点がある。
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