2022年07月13日
☛愛すべきソプラノ💘デ・ロス・アンへレス
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20世紀を代表するソプラノでありながら、親しみ易い歌唱で決して近付き難い印象を与えなかったヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスの芸術を7枚のCDにまとめたもので、オペラのアリアの多くは全曲盤からのピックアップになる。
彼女の魅力は甘美でチャーミングな歌声とストレートで広い声域、そして多くの言語を母国語のように巧みに操って発音される明瞭な歌詞などで、ジェラルド・ムーアが引退公演の時に選んだ3人の歌手がフィッシャー=ディースカウ、シュヴァルツコップと彼女だったことからもその芸術性豊かな歌唱の価値も明らかだろう。
1枚目の早期録音集では1940年代から50年代の鮮烈で可憐な歌声を聴くことができるし、続くイタリア、フランス・オペラのアリア集では更に味のある艶やかな至芸を堪能できる。
中でもクリュイタンスとの『ファウスト』や『ホフマン物語』、ジョルジュ・プレートルとの『ウェルテル』、サー・トーマス・ビーチャムとの『カルメン』はそれぞれが一世を風靡した名録音でもある。
また彼女はポピュラーな歌曲も得意にしていて、4枚目のデ・ブルゴスとの協演では、暖かい南の風が吹いてくるようなスタイリッシュな歌唱を披露しているし、またこのセットに1枚半ほど含まれるお国ものでも、エキゾチックで情熱的な雰囲気を満喫させてくれる。
筆者が最後に彼女のコンサートを聴いたのは、確か1990年代の始めだったと思う。
既にオペラ界を引退していて久しかったが、ローマのオペラ座でニコライ・ゲッダとジョイント・リサイタルを開いた時だった。
その後バルセロナのグラン・テアトロ・デル・リセウを訪れた際に、彼女が2005年に亡くなっていたことを偶然知らされた。
奇しくもこのオペラ劇場は彼女が『フィガロの結婚』の伯爵夫人役でデビューした場所だった。
すっかり改装された内部を観ながら聞いた訃報は感慨深いものがあった。
リサイタルのアンコールにギターを抱えて弾き歌いした気さくなアイデアも今となっては懐かしい思い出だ。
ここでは幸い最後のCDで『アディオス・グラナーダ』を彼女自身のギター伴奏で聴くことができる。
ライナー・ノーツは31ページほどで、曲目と彼女のキャリアが英、独、仏語で掲載されているが、残念ながら歌詞対訳は省略されている。
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