2019年06月03日

リヒテル、ザ・マスター・シリーズを補う貴重なシューマン作品集


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このCDは、巨匠リヒテル自身が生前にリリースを承認したフィリップスのライヴ録音、全21枚のCDで構成された「オーソライズド・レコーディングス」のブラームス及びシューマン編3枚組から最後の1枚をそのまま独立させたものだ。

2007年にデッカとフィリップスのライヴ音源を統合した、リヒテル没後10周年企画であった「ザ・マスター」の選曲からはそっくり漏れていた。

その理由は単にCDのスペースの問題だったのかも知れないが、既にどちらのシリーズも製造中止になっている。

「ザ・マスター」を補う貴重な音源として音質もきわめて良好なので、リヒテル最良のライヴの記録として、またコレクションとしても価値の高い演奏だ。

骨太で堂々たる『行進曲ト短調』や『ノヴェレッテヘ長調』の抒情や幻想性にはリヒテルの美学が如実に示されているが、ここではパガニーニのカプリスからのテーマによる3曲の『演奏会用練習曲』を取り上げているのが興味深い。

これらの曲は技巧的にもかなり難解だが、決してテクニックを優先させたエチュードではないので、音楽性とテクニックのバランスを考慮しながら演奏効果を上げることは至難の技に違いない。

実際のコンサートで弾かれる機会がそれほど多くないのはこうした理由からだろう。

しかし彼はそれに敢然と挑み、これらの曲に芸術的な価値を再認識させるような華麗な表現を聴かせている。

ここにもリヒテルの楽譜から音楽を読み取る天才的な感性が感じられる。

尚この3曲はドレミ・レーベルのRICHTER Archives Vol.13に同年の高崎ライヴの録音が収められているが、音質的にはこちらのフィリップスの方が格段優れている。

リヒテルはセッションに関してはそれほど積極的に取り組まなかったこともあって、彼の演奏の本来の醍醐味はライヴに表れているだろうし、彼自身もそれに賭けていたようだ。

それぞれの演奏会場や聴衆の雰囲気、あるいは彼自身の研鑽やその日のコンディションによって当然演奏も変化してくる。

それが生きた音楽としての彼の表現の本質だったのではないだろうか。

参考までに、ここに収録された曲目はいずれも1986年7月8日にコペンハーゲンで録音された、巨匠円熟期のライヴ録音だ。

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classicalmusic at 07:08コメント(0)シューマン | リヒテル 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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