2021年01月15日

北欧の抒情、リヒテルのグリーグ


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リヒテルはそのキャリアの終焉まで新しいレパートリーを開拓していた稀なピアニストだった。

このCDに収められた22曲のグリーグの『抒情小曲集』は、1993年7月7日に南ドイツのシュリーアゼーのバウエルンテアターで行われたライヴ録音で、彼の最晩年の円熟した奏法を堪能できる貴重な記録としてお勧めしたい。

この曲集ではピアノの際立ったメカニカルな技巧は必要としないかわりに、ひとつひとつの曲に記されているタイトルのように、自然の情景や森羅万象から受ける感触をイメージさせる繊細な感性ときめ細かなリリシズムの表現が要求される。

そしてこうした小品集を聴かせるリヒテルの総合的なピアニスティックなテクニックは流石で、チャイコフスキーの『四季』でもみせた特有のぬくもりのある夢見るような世界がここでも展開する。

しかもここではグリーグの故郷ノルーウェイの風土や民族色とは切り離すことができない北欧の抒情が絶妙に醸し出されている。

そうしたメルヘンチックな遊び心が晩年のリヒテル自身を楽しませたのではないかと思えるほど、それぞれの曲作りが彼の創意工夫と機智に溢れている。

グリーグの『抒情小曲集』は全10巻計66曲に及んでいるが、この日のリサイタルでリヒテルによって演奏されたのは下記の22曲になる。

作品12よりNo.1『アリエッタ』、No.2『ワルツ』、No.3『夜警の歌』、No.4『妖精の踊り』作品38よりNo.12『ハリング』(ノルーウェイ舞曲)、No.18『カノン』作品43よりNo.17『蝶々』、No.22『春に寄す』作品47よりno.23『即興的ワルツ』作品54よりNo.31『ノルーウェイ農民行進曲』、No.34『スケルツォ』、No.35『鐘の音』作品57よりNo.39『秘密』、No.40『彼女は踊る』、No.41『郷愁』作品62よりNo.46『夢想』作品65よりNo.53『トロルドハウゲンの婚礼の日』作品68よりNo.57『山の夕べ』作品71よりNo.62『小さな妖精』、No.63『森の静けさ』、No.65『過去』、No.66『余韻』

ドイツのマイナー・レーベル、ライヴ・クラシックスはリヒテルの他にもヴァイオリニストのオレグ・カガンやチェロのナタリア・グートマンなどの演奏家を中心に1970年代から90年代にかけてのライヴ・レコーディングをリリースしているが、1980年代以降の音源はデジタル録音でライヴ物としては極めてよい状態の音質で鑑賞できる。

またこのレーベルのカタログには若くして亡くなったカガンとリヒテルの協演を含む貴重なCDも多く見出される。

ライナー・ノーツは独、英語による4ページほどのごく簡易なものだが、ドイツで企画されたシリーズだけあって録音データは詳細に記載されていて、信頼性の高いものであることも付け加えておく。

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classicalmusic at 12:16コメント(0)グリーグ | リヒテル 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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