2019年11月24日
トラヴェルソとガンバ、相性の良い響き、テレマン作品集
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G.Ph.テレマンの作品の中からトラヴェルソとヴィオラ・ダ・ガンバに因んだ8曲を収録したCDで、2001年にカナダのケベックで録音されアトマ・レーベルからリリースされた。
音質が極めて良好で楽器の特質をよく捉えた臨場感を体験できる。
タイトルのレ・ヴォワ・ユメーヌはこのアンサンブルの名称のようだ。
メンバーの中核は二人の女流ガンビスト、スージー・ナッパー及びマーガレット・リトルで通奏低音がエリック・ミルンズのチェンバロになる。
尚バルトールド・クイケンが使用しているトラヴェルソは1730年製のI.H.ロッテンブルグのコピーでピッチはa'=415だが、他のソリスト達の楽器については詳細が書かれていない。
ナッパー、リトルのコンビのアンサンブルは非常に良く練れている上に颯爽とした軽快さが感じられる。
しかもクイケンのトラヴェルソはいつものように決して重くならないので、どちらかというとモダン・バロックの響きが支配的だが、テレマンの音楽特有の喜遊性だけでなく、芸術的な深みにも欠けない優れた演奏だ。
2曲の無伴奏ファンタジーについては、クイケンは1972年に全曲録音をして以来新規にCDを出していないので、彼の近年の解釈の変化を知る上でも興味深い。
曲目はトリオ・ソナタの形式で書かれた『クワドロ』と名付けられたトラヴェルソと2つのガンバ及び通奏低音のための2曲のト長調の作品と、ガンバのための2曲の二重奏ソナタ、(この内の1曲は『カノン風』と題されている)、そしてトラヴェルソとガンバのためのソナタイ短調、トラヴェルソのソロ・ソナタホ短調、その他にニ長調とロ短調の無伴奏ファンタジーということになる。
テレマンは横笛のために膨大な作品を残しているが、またヴィオラ・ダ・ガンバを通奏低音から独立させてソロ楽器としても扱っている。
ガンバは伝統的にアンサンブルの形で使われていたが、サント・コロンブによってそのテクニックが飛躍的に高められたといわれる楽器で、テレマンもそのソロ性に着目している。
ここには収められていないが『パリ・カルテット』がその顕著な例でパリ滞在中に作曲されているのも示唆的だ。
トラヴェルソの柔らかい暖かみのある音色とガンバの雅やかな響きは非常に相性が良く、このCDではこうした特有の感性に焦点を当てた選曲に興味を惹かれる。
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