2019年07月14日
フレーニ、シエピのルガーノ音楽祭ジョイント・リサイタル
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1985年の5月17日に催されたスイス・ルガーノ音楽祭のコンサートからのテレビ放送用録画で、ライヴの映像としては良くできているし、画質、音質ともに良好だ。
この日はミレッラ・フレーニとチェーザレ・シエピのジョイント・リサイタルで、指揮はブルーノ・アマドゥッチ、スイス・イタリア語圏放送管弦楽団の協演になる。
コンサート開始と後半にそれぞれ置かれた2曲の序曲を含めて正味1時間程度のプログラムが組まれている。
2人の歌う曲目は一晩のコンサートとしては物凄いオペラ・アリアばかりが並んでいて、改めて彼らの実力を窺わせる内容になっている。
フレーニは当時キャリアの真っ只中にあり、押しも押されもしないプリマ・ドンナだけあって、その美声と声の輝かしさはまさにイタリア・オペラの醍醐味だ。
ただし、筆者は彼女の舞台を何度も観たが、劇場内に響き渡る声は、残念ながらこうした録音ではその真価が分かりにくいというのが実感だ。
一方当時62歳だったシエピはその4年後に公の舞台から引退しているので全盛期の力強さはやや後退したものの、全くフォームを崩さない、揺るぎないカンタービレと深々とした低音、そしてフレージングの巧みさなどはまさに往年のシエピだ。
またエレガントな舞台マナーは流石にフルトヴェングラーに認められたドン・ジョヴァンニ歌いで敬服させられる。
オットー・ニコライの『ウィンザーの陽気な女房達』序曲に続く、グノーの『フィレモンとボーシス』からの「ジュピターの子守唄」は、この頃のシエピほど巧く歌える歌手はいないのではないかと思えるほど気品と慈愛に満ちているし、最後に長く引き伸ばされる低いEの音の素晴らしさも特筆される。
モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』からは彼の十八番だったタイトル・ロールではなく、レポレッロの「カタログの歌」を取り上げているが、この役にしてはあまりに高貴で立派過ぎる歌唱だ。
尚最後には同オペラからのデュエット「手を取り合って」が歌われるが、このコンサート唯一の二重唱になっている。
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