2019年09月12日
チャイコフスキー&ラフマニノフのロマンス、シベリアン・タイガー、ホロストフスキーへの哀悼
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シベリアン・タイガーの異名をとったオペラ界のスター歌手、ロシアのバリトン、ディミトリー・ホロストフスキーが2017年11月22日に亡くなった。
死因は脳腫瘍だったようだが、55歳の誕生日を迎えたばかりで、バリトン歌手として更なる活躍が期待された時期の早世は惜しまれてならない。
とは言うものの筆者は彼のオペラの舞台姿を観たわけでもなく、コンサートに出かけたことさえ一度もないが、彼がデビューした頃のCDを1枚だけ持っていて、それがこのロシア歌曲集だった。
ある時ごく身近な人からの贈り物として戴いたもので、まだ洗練されていないけれどもホロストフスキーの美声に託したダイレクトな心情の吐露と真摯な歌唱が強く印象に残った。
彼のデビュー当時の若々しく情熱的な歌いぶりとビロードのようなバリトンの響きに酔いしれる1枚だ。
その後彼が欧米の名立たるオペラハウスで主役を歌うようになった頃の歌は放送を通じて何回か聴いたことはある。
確かに声の固さもとれて歌は上手くなっていたが、本人が望んだか否かは別としていくらかコマーシャライズされたイメージと、オールマイティーな能力を誇示するような歌唱表現のあざとさが鼻についてそれ以上聴く気がしなかった。
しかしこのロシア歌曲集には彼の声を通したスラヴの作曲家達の無垢で切実な希望や青春の痛手のようなものが感じられる。
ここにはホロストフスキー自身のまだ素朴だが将来に向けて乗り出して行こうとする一途で謙虚な歌唱がある。
実際その後の彼は順風満帆の勢いでインターナショナルな舞台での活躍を始めることになる。
特にチャイコフスキーがゲーテの詩に作曲した『ただ憧れを知る者のみが』を聴いていると、彼の闘病生活最後の無念の日々を伝えているようで感動を禁じ得ない。
心から哀悼の意を表したい。
今は亡きロシアの名匠オレグ・ボシュニアコーヴィチの伴奏は高い芸術性が感じられ絶品だ。
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