2020年08月27日

シェリングとグラフマンが競り合う即興的なコンサート


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



両者が調和を求めた演奏ではなく、どちらかと言うと即興的な趣を持ったコンサートという面白みがある。

既にもう1枚の同コンサートのCDのレビューでも書いたが、グラフマンは伴奏に回っても相手に従順に付き添っていくピアニストではない。

そこにはかなり強い主張が感じられ、自らイニシアチブをとって相手を自分の演奏に引き込もうとしているのが聴き取れる。

しかしシェリングも決して後には引かない態勢だ。

彼にとってもベートーヴェンはレパートリーの中心をなす作曲家だけに、譲れない一線があるに違いない。当然2人の間には瞬間瞬間の駆け引きのようなものがあり、一進一退のせめぎ合いがある。

しかしそれが演奏に破綻をきたさないのは、お互いに相手の音楽を注意深く聴き取り、なおかつ付かず離れずの表現上の巧みなバランスを保っているからだろう。

大曲『クロイツェル』のような高度なアンサンブルを要求される難曲でも、緊張感を孕んだ両者の実に彫りの深い表現が聴かれる。

そのあたりはシェリングのディプロマティックで老獪なテクニックがものを言っているのかもしれない。

それはまた1950年代のルービンシュタインとのセッションと大きく異なっている点だ。

何故なら当時は明らかにシェリングの方が巨匠に胸を借りる形で歩み寄っているからだ。

シェリングとグラフマンは1970年と71年のそれぞれ12月にワシントンのライブラリー・オブ・コングレスに招かれ、クーリッジ・オーディトリアムでコンサートを開いた。

この会場は米議会図書館附属の小ホールなので、どんな演奏会であっても入場券は即日完売になってしまう。

また時によっては招待制に限定されることもある。

いずれにしても合衆国政府から実力を認められたアーティストが出演する名誉ある舞台なので、彼らの演奏に対する熱意も充分に感じ取れる。

音質は鮮明だが響きはデッドで、いまひとつ臨場感がないのが惜しまれる。

8ページほどの簡易なライナー・ノーツにはこの演奏会についての回想が掲載されている。

それによると当日彼が使用したピアノはスタインウェイOLD199ということだ。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 14:00コメント(0)ベートーヴェン | シェリング 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ