2019年11月07日
創業66周年記念の鳴り物入りアルヒーフ・カタログ
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ヨーロッパの音楽史を辿ったレーベルでは草分けのアルヒーフが今年創業66周年と言うことで、既にCD55枚組の箱物もリリースされている。
70周年を待てなかったところにミュージック産業界の熾烈なサバイバル戦が窺われる。
それはともかくとしてサンプラーとしてカタログと抱き合わせになったこのCDは、1970年代にレーベルの主力を担ったトレヴァー・ピノック率いるイングリッシュ・コンサートの興味深いイギリスの作曲家の作品集で、普段はそれほど聴く機会に恵まれない曲目がピックアップされている。
それらの様式や曲種にはイタリア・バロック、特にコレッリの影響が色濃く表れているが、それは彼と交流のあったヘンデルや彼の弟子だったジェミニアーニがイギリスに渡って彼の音楽を広めたためで、当時のロンドンやダブリンでは非常にもてはやされたスタイルだったようだ。
このCDでも4曲目の合奏協奏曲ニ短調は、ジェミニアーニが師の作曲したヴァイオリンと通奏低音のための『ラ・フォッリーアの主題によるヴァリエーション』を弦楽合奏用にアレンジしたものだ。
最後に置かれたエィヴィソンの合奏協奏曲第2番は、ドメニコ・スカルラッティのチェンバロ用作品の編曲物になる。
ピリオド楽器のアンサンブル、イングリッシュ・コンサートはこの時代に彼らのキャリアの最盛期を迎えていた。
若き日のピノックとヴァイオリニストでコンサート・マスターを務めていたスタンデイジの意欲的な活動を示した貴重な記録だ。
当時古楽の故郷と言われていたオランダを中心とするネーデルランド系のアンサンブルの荘重さとは対照的に、軽快で颯爽とした耳に心地良い響きを楽しませてくれた彼らには鮮烈なイメージがあった。
ピッチは現在より半音ほど低いa'=415を採用している。
尚別に付いているカタログは95ページあり、12ページ以降に全ジャケットのカラー写真付で3種類のDVDを含む合計409点のディスクが紹介されている。
また現在入手できるものについては、CDあるいはダウンロードの表示がつけられているのは親切だ。
音楽史や古楽に興味のある方に手軽な試聴盤としてお薦めしたい。
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