2019年07月11日
早世したアルヘンタ、お国物の圧倒的な強み、スペイン特有の強烈な光彩や民族的リズム
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アタウルフォ・アルヘンタは1913年生まれのスペインの指揮者で、若い頃から欧米で修行し32歳でマドリード国立管弦楽団の常任指揮者に就任して将来を嘱望されたが、44歳で事故死したため録音された彼のレパートリーはごく限られている。
この2枚組のCDには彼が精力的に取り組んだ20世紀のスペインの作曲家の作品と、庶民性の高いサルスエラから管弦楽と歌物をピックアップした選曲になる。
2枚目は音楽的にごく高尚なものとは言えないが、スペイン特有の強烈な光彩や民族的リズムに溢れていて、その意味ではお国物の圧倒的な強みを持っている演奏には違いない。
しかしオーケストラは1枚目に比べると非力で指揮者の要求する音楽について行けない部分が聞かれるし、またアンサンブルも肌理がやや粗い。
録音状態は決して悪くはないが、曲によっては残響が多過ぎたり、ミキシングのバランスもクラシック向きではない。
確かにここに採り上げられたロマンティック・サルスエラという曲種自体芸術的な題材を扱った音楽劇とは言い難い。
どちらかと言えば地方色豊かな歌と舞踏を交錯させた、どこにでもありがちな大衆の恋愛話が殆んどなのである。
勿論実際の舞台を観るのであれば別だが、そこから音楽だけをピックアップしたCD2枚は多少食傷をきたす曲数というのが実感だ。
むろんBGMやダンスなどの実用のために使うのなら贅沢なくらい立派な選択肢と言える。
純粋な管弦楽として鑑賞されたい方には同じくアルヘンタの指揮した『エスパーニャ』と題された英デッカ盤か、もしくはデ・ブルゴス指揮、ニュー・フィルハーモニア及びロンドン・フィルハーモニーとの新しい録音の方をお勧めしたい。
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