2019年06月18日

感性の泉、ダヴィッド・フレー、モンサンジョンによるドキュメンタリー映画


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フランスの若手ピアニスト、ダヴィッド・フレーは既にこの時点でバッハとブーレーズ、そしてシューベルトとリストを組み合わせた魅力的なCDを出している。

先般バッハの4曲のキーボードの為の協奏曲を弾き振りしたCDは勿論同時にリリースされた。

そのうちの3曲、BWV1055、1056及び1058のリハーサル風景とインタビュー、そして本番を撮ったものがこのDVDだ。

フレーはグレン・グールドのファンであり、しかもそれにとらわれることなく、あくまで自分の音楽性を打ち出していこうとしていることにも感動させられる。

彼の仕事はブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニーというまだ駆出しのオーケストラを手なづけていくところから始まる。

彼が要求するのはメロディーを巧く歌うこととスウィングするような感性の柔軟さで、オーケストラがどのように彼についていくかが見どころだ。

リハーサルは和気あいあいとしたものだが、時折フレーのうるさい注文に首をかしげたり、また茶化したりする団員の姿も正直に撮影されている。

面白いのは彼のピアノ演奏について多くの人が指摘するように、かつてのグールドを彷彿とさせるような特殊なゼスチュアと顔の表情だ。

鍵盤に顔をかぶせるようにして自己の世界に浸る奏法は確かに独特のアピールがある。

この映画でのフレーは、ある意味でグールドを「演じきって」おり、また最初はこの「グールドまがい」のピアニストにどう対応しようかと手探り状態であったドイツ・カンマーフィルの楽員たちが、次第にフレーのスイングする音楽をどうせなら徹底的に演じてやろうと、役になりきっていく過程も興味深い。

しかし同時に溢れるほどの音楽性もその演奏から滲み出ていて、バッハから殆ど無限ともいえる音楽表現の可能性を引き出してみせる。

特に緩徐楽章に於ける感性豊かで繊細な歌いまわしは感動的だ。

冷静で感性よりも理性が先行するという意味で傾向が全く違うドイツの同世代のピアニスト、マルティン・シュタットフェルトに挑戦するかのような企画も興味深い。

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classicalmusic at 00:12コメント(0)バッハ | 映画 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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