2019年09月19日

『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』礒山 雅 (著)、大幅改訂の文庫版、バッハ入門書に最適


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なぜ心にこれほど深い慰めをもたらすのか、人生への力強い肯定を語るのか、「神の秩序の似姿」に血肉をかよわせるオルガン曲、聖の中の俗、俗の中の聖を歌い上げるカンタータ、胸いっぱいに慈愛しみ渡る≪マタイ受難曲≫……。

300年の時を超え人々の魂に福音を与え続ける楽聖の生涯をたどり、その音楽の本質と魅力を解き明かした名著。

1985年に出版された同名の単行本からの文庫版で、その後の最新の資料を基にかなりの部分に亘って改訂を施し、面目を一新した形で刊行された。

バッハの評伝、あるいは彼の音楽を理解するための入門書として最適であるばかりでなく、彼の人生観、宗教観や作曲技法に至るまで、ある程度専門的な部分にまで踏み込んだ著者の考察が簡潔に、また親しみ易く書かれているのが特徴だ。

本文の構成はバッハの経歴とその作品の成立過程、彼を取り巻いていた人間関係やその当時の社会的な背景などをクロノロジカルに追って進めていくものだ。

彼は生涯ドイツから一歩も外へ出る機会を持つことがなかったにも拘らず、如何に多方面から勤勉に学び、それを完全に自分の音楽として昇華していったかが理解できる。

また当時の音楽家としては稀に見るレジスタンス精神で上司と闘った、不屈の闘志家としての側面も興味深い。

最後に置かれた補章「20世紀におけるバッハ演奏の四段階」では、バッハ復興時代から現在に至るまでの演奏家による演奏史について著者礒山氏の忌憚のない意見と将来への展望が述べられている。

尚単行本の巻末に掲載されていた作品総覧は、現在のバッハ研究の現状にそぐわないものとして割愛され、楽曲索引にとって替えられた。

勿論そこでバッハの作品大系を俯瞰することができる。

「人間の小ささ、人生の空しさをバッハはわれわれ以上によく知っているが、だからといってバッハは人間に絶望するのではなく、現実を超えてより良いものをめざそうとする人間の可能性への信頼を、音楽に盛りこんだ。

その意味でバッハの音楽は、切実であると同時に、きわめて楽天的でもある。

バッハの音楽を聴くとき、われわれは、人間の中にもそうした可能性があることを教えられて、幸福になるのである。」――<本書より>

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classicalmusic at 12:35コメント(0)バッハ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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